2013 Fiscal Year Research-status Report
口腔角化病変発症メカニズムでのカルボニルタンパクの意義とレドックス抑制機構の解明
Project/Area Number |
24593003
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
熊谷 章子 岩手医科大学, 歯学部, 助教 (10286594)
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Keywords | 活性酸素 / 酸化ストレス / 口腔角化病変 / 口腔扁平苔癬 / 白板症 / 加齢 |
Research Abstract |
白板症、口腔扁平苔癬などの口腔角化病変は、中年から高齢者に多い。特に口腔扁平苔癬については種々の因子が考えられているが、正確な原因は未だ不明である。口腔内は慢性炎症を起こす機会が多く、常に酸化ストレスに曝されている。そこでわれわれは加齢に伴う抗酸化作用の低下と、酸化損傷分子の蓄積による酸化ストレスの影響に注目した。今回は口腔角化病変発症と、血液、尿中の抗酸化物質および生活習慣、基礎疾患など全身的要因との関連を検索した。 対象の内訳は、年齢では30歳代から80歳代で、疾患別では口腔扁平苔癬患者13名、白板症患者3名、健常者10名であった。方法は、静脈血と尿を採取し、血清中の抗酸化物質としてビタミンA・C・E、葉酸、亜鉛、SOD活性、および酸化ストレスマーカーとして血清中尿酸と尿中8-OHdGを測定した。口腔扁平苔癬患者群、白板症患者群、健常者群の測定値について、Studentのt検定による統計分析を行った。また、各被験者には喫煙暦、飲酒暦、その他の嗜好物の有無、常用内服薬、基礎疾患の治療歴に関する問診を行った。 その結果、被験者の血液、尿それぞれの検査値と年齢との間に統計学的な相関関係は認めなかった。各群間の比較では、口腔扁平苔癬患者の血清中ビタミンC値が白板症患者(p<0.05)、健常者(p<0.01)との間に有意差を認めた。問診から得られた患者背景による影響について分析したが、有意な結果は得られなかった。 本研究によって、口腔粘膜角化病変の発症と、全身的要因として考えられた加齢およびそれに伴う抗酸化力の減退や生活習慣等の患者背景の影響を強く肯定することはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の条件を満たし、研究協力に同意が得られた被験者からの試料採取が十分量に至るのに時間を要したため。また、試料の検査委託費が当初の予定よりやや高額であり、計画通りの提出の障害となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度中に、すでに収集されている被験者の病変粘膜から酸化損傷分子を検出し、年齢と量的および質的相違についても調べ、局所的要因による影響も検索する予定である。口腔粘膜組織から可溶性タンパクを抽出、プレートリーダーを利用したカルボニル化タンパクの定量を行なう。その他に2次元電気泳動(2-DE)に続くウェスタンブロッティング、マトリックス支援レーザー脱離イオン化型質量分析計(MALDI-TOF MS)を利用したカルボニル化タンパクの同定を行う。
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Research Products
(4 results)