2014 Fiscal Year Annual Research Report
慢性ストレスによる唾液タンパク分泌異常の機序解明とそのドライマウス診療への応用
Project/Area Number |
24593014
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Research Institution | Sagami Women's University |
Principal Investigator |
吉野 陽子 相模女子大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (70298248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 洋一 鶴見大学, 歯学部, 講師 (90148057)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 慢性ストレス / 唾液タンパク / カリクレイン / 小胞体ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性的なストレスにより唾液タンパク分泌の質的変化が生じる。慢性ストレスは持続的に交感神経が刺激されている状態と考えられるため、αアドレナリン受容体アゴニストのフェニレフリン(PHE)の長期投与は、唾液タンパク変化の機序解明の実験モデルになり得ると考え、これまで検討してきた。このマウスでは、唾液タンパクとカリクレインの分泌低下が特徴である。このタンパク分泌低下の原因には、小胞体ストレス応答の関与が推察される。そこで、小胞体ストレス下で応答するシャペロンタンパクBip/GRP78(immunoglobulin-heavy chain binding protein/glucose-regulated protein 78) のタンパク発現量と翻訳を抑制するeIF2(eukaryotic initiation factor 2α)のリン酸化を検討した。13週齢のICR雄マウスを用い、コントロール群(CTL群)には生理食塩液を、PHE投与群にはPHE(5mg/kg)を1日2回5日間筋注し、顎下腺を摘出した。細胞膜と細胞質に分離し、細胞質中のBip/GRP78とphospho-eIF2αのタンパク発現量をウェスタンブロッティングにより比較した。Bip/GRP78とphospho-eIF2αのタンパク発現量は、PHE群が有意に上昇していた(p<0.01、p<0.05)。Bip/GRP78による折りたたみ不全タンパクの修復や、eIF2αのリン酸化による翻訳抑制が起きた結果として、タンパクやカリクレインの分泌低下が生じたものと推察された。小胞体ストレスは糖尿病や神経変性疾患など多くの疾患と関連している。長期のアドレナリン受容体刺激が小胞体ストレスを惹起して、タンパク合成・分泌に影響を及ぼすことが示唆され、心理社会的な慢性ストレスが小胞体ストレスを生じる可能性を示している。
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Research Products
(5 results)