2013 Fiscal Year Research-status Report
口腔粘膜創傷治癒におけるレプチンの新規治療薬としての可能性
Project/Area Number |
24593016
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
片岡 志基 鶴見大学, 歯学部, 臨床助手 (80624676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
里村 一人 鶴見大学, 歯学部, 教授 (80243715)
舘原 誠晃 鶴見大学, 歯学部, 講師 (90380089)
徳山 麗子 鶴見大学, 歯学部, 助教 (20380090)
井出 信次 鶴見大学, 歯学部, 学部助手 (00611998)
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Keywords | レプチン / 口腔粘膜創傷治癒 / 創傷治療薬 |
Research Abstract |
未曾有の超高齢社会を迎えたわが国では、口腔粘膜疾患、ドライマウスなどの口腔内科的疾患が増加してきている。一方、悪性腫瘍に対する化学療法や放射線療法、造血幹細胞移植に代表される先進的治療技術の実施に伴って発症する重篤な口腔粘膜炎の管理、口腔ケアの必要性・重要性が注目されてきている。今後ますます多くの国民がこのような治療の対象となると予想されることから、口腔粘膜炎の発症予防、進行抑制、さらには効果的治療のための手段を確立しておくことが喫緊の課題といえる。一方、レプチンは白色脂肪組織から分泌され、摂食抑制とエネルギー消費亢進、骨形成促進作用、血管新生促進作用などが報告されている。興味深いことに、このレプチンが最近、唾液中に存在することが明らかとなっているが、その口腔内における生理的役割については未だ不明である。しかし、これまでのレプチンが血管新生促進作用を有することや、皮膚における創傷治癒を促進していることなどを考え合わせると、レプチンが口腔粘膜においても創傷治癒に促進的に働く可能性があることに着目した。昨年度までに口腔粘膜上皮細胞におけるレプチン受容体の発現についてラビットおよびヒトの口腔粘膜組織およびそれぞれの培養細胞においてその発現を確認した。そこで、口腔粘膜上皮細胞に対するレプチンの影響について、その増殖・分化・細胞遊走について検討したところ、レプチンが細胞遊走を促進していることが確認できた。今年度は実際に日本家兎の歯肉に化学熱傷を作製し、レプチンを局所投与したところ、レプチン投与により創傷治癒期間が短縮されることが確認された。このとき明らかな副作用は認められず、レプチン投与が口腔粘膜創傷治癒を促進することが明らかとなった。今後はさらに詳細なメカニズムについて検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、今年度は、実際に実験用動物を用いてレプチン投与により創傷治癒促進が可能であるかどうかを検討する予定であったが、概ね順調に解析を進められており、現時点では本研究は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでに得られている結果を基に、さらに詳細なレプチンによる口腔粘膜創傷治癒促進効果のメカニズムについて検討を進める予定である。実際に促進効果の認められた組織切片を利用して、上皮層の変化の組織学的検討、上皮下組織の血管新生促進効果の有無等について免疫組織学的に検討するとともに、また、in vitroでも口腔粘膜上皮細胞に加えて、歯肉線維芽細胞に対するレプチンの影響についても検討し、レプチンの作用機序について解明を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度からの繰越金が発生しているのは、今年度、レプチン投与と口腔粘膜創傷治癒促進効果の解析を進める上で、組織学的検討、免疫組織化学的検討を用いた解析が途上であるためであり、次年度以降はこの解析をさらに進めるとともに、さらにレプチン投与におけるin vitroでの解析を進めていく予定である。このため本来今年度使用する予定であったこれらの繰越金を有効に使用して、細胞培養、分子細胞生物学的検討、生化学的検討、組織学的検討を進め、先行している結果とともに本研究を順調に進展させていく予定である。 次年度には研究計画に基づき、細胞培養試薬類、分子細胞生物学的検討試薬類、生化学的検討試薬類、組織学的検討試薬類、実験用動物などに物品費として使用するとともに、成果発表のための旅費、人件費、謝金、論文印刷費などに使用する。具体的には、前年度までに解析が途上であったレプチン投与による口腔粘膜創傷治癒促進効果に関するメカニズムの解析のための細胞培養、組織学的検討、分子細胞生物学的検討などに使用する予定である。
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Research Products
(2 results)