2012 Fiscal Year Research-status Report
歯髄由来細胞の多能性を誘導するリプログラミング因子に関する基礎的研究
Project/Area Number |
24593020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
野崎 中成 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (90281683)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 再生医学 / 再生医療 / 歯科 / 多能性 / リプログラミング |
Research Abstract |
リプログラミングを促進する因子を明らかにすることは、体細胞から多能性を有する細胞を効率よく誘導するために必要であり、再生医療を支える基礎的研究として意義がある。多能性を誘導するリプログラミングを促進する因子として、 Parp1による効果を調べるため、研究代表者らが作製した遺伝子改変マウスの細胞を用いた。miRNA-302bcad/367のクラスターを含むparental plasmidをE.coli ZYCY10P3S2T株でクローン化した。Arabinoseを添加し、φC31インテグラーゼを介した分子内組換えを誘導して、miRNA-302bcad/367のクラスターを発現する非ウイルス性のReprogramming Minicircle DNA Vectorを作製した。この発現ベクターを電気穿孔法とカチオン脂質導入法を組み合わせてマウス由来細胞に導入し、GFPの発現を指標にリプログラミングを誘導する系の条件検討を行った。導入4週間後に、ES細胞様のコロニーを形成した。GFPの発現を蛍光顕微鏡で観察すると、形成したコロニーではGFPの発現が減少していた。ミニサークルの発現ベクターは宿主細胞のゲノムに組み込まれないため、細胞分裂によりGFP発現が徐々に減衰すると考えられた。ベクターを導入後、シーケンシャルなGFP発現の観察とコロニー形態により、リプログラミングが誘導された細胞を確認できた。Parp1遺伝子型によるリプログラミング効率を評価するため、Parp1-/-とParp1+/+マウス胎児線維芽細胞株への導入を行った。今後、ベクター導入後の内在性Oct3/4,Sox2の発現レベルの上昇を定量的に調べて、リプログラミング効率を評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に従って研究を遂行した。リプログラミングを誘導するためのミニサークルの発現ベクターを調製した。このベクターを用いて、細胞に導入する条件検討を行い、リプログラミングを誘導する系を構築した。内在性の多能性マーカーの発現変動など、客観的指標を用いてリプログラミング効率を評価することが今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
体細胞のリプログラミングの初期に、多能性遺伝子座にあるNanogとEsrrbの転写が誘導されるが、その際にエピジェネティクス修飾因子であるParp1とTet2がその遺伝子座へ働くことが報告された(Doege CA et al., Nature 2012)。すなわち、ヒストンを修飾することでクロマチンを活性化し、多能性遺伝子座領域にある遺伝子の転写を誘導できる。また、Parp1は、リプログラミング因子であるOct3/4の転写も促進する。内在性の多能性マーカーの発現は、Parp1遺伝子型により影響を受ける可能性が示唆され、この点について解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
他の研究費も充当したため、平成24年度助成金の一部を使用せず、翌年度分へ繰り越した。最新の知見より、Parp1遺伝子型がリプログラミング効率へ影響する可能性がある。この可能性を明らかにする目的で、次年度の研究費の一部を使用する。Parp1はエピジェネティクスの修飾を介して、または、直接的にリプログラム因子を誘導するため、それら因子の発現レベルについてParp1遺伝子型による差異を網羅的に調べる必要がある。Parp1欠損型と野生型の細胞株におけるアレイ解析データの詳細な分析を行う。
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