2013 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌周囲環境のアラキドン酸カスケード経路をターゲットとした治療法の開発
Project/Area Number |
24593022
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小堀 善則 北海道大学, 大学病院, 助教 (70374551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋田 京子 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 特任准教授 (40399952)
大賀 則孝 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40548202)
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Keywords | アラキドン酸 / 腫瘍血管内皮細胞 / 癌 |
Research Abstract |
口腔内の組織は、歯周疾患や喫煙、熱刺激、香辛料刺激、義歯・補綴物による機械的刺激などで慢性炎症が発生しやすい環境下である。さまざまな環境要因による慢性炎症が、癌の発症や進展に関与していると最近考えられている。腫瘍間質における細胞は、プロスタグランジンやさまざまなケモカインなどを放出し、癌の悪性化の進展の実行役と考えられてきている。口腔癌においても、腫瘍間質細胞が慢性炎症が発がん、癌の進展に関与する可能性がある。慢性炎症下では、マクロファージを初めとしてさまざまな炎症性細胞が漏出して、腫瘍の転移に関連するとの報告も見られる。 われわれはこれまで腫瘍血管内皮細胞(Tumor Endothelial Cells: TEC)が正常血管内皮細胞(Normal Endothelial Cells: NEC)と比較して,①増殖能、運動能などの生物学的活性が高い②薬剤抵抗性を有する③特異的な遺伝子の発現する④染色体不安性があるなどさまざまな点で異なることが報告してきた。癌細胞におけるCOX-2の発現を中心としたアラキドン酸カスケードの亢進が、癌の進展に影響を及ぼすことは知られている。腫瘍血管内皮細胞を初めとする腫瘍間質細胞における、アラキドン酸カスケード経路の亢進と癌の進展の関連について検討した報告は少ない。 H25年度の本研究では、腫瘍間質を構成する腫瘍血管内皮細胞におけるCOX-2の下流にある分子であるPGI2、PGE2の発現解析さらにはPGI2のレセプターであるPtgirとPGI2のオートクラインの系が腫瘍血管内皮細胞の遊走、管腔形成に影響を与えているかを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで心血管系の研究において、PGI2は血管内皮から放出され、血小板や血管平滑筋細胞に存在するIP receptor (Ptgir)に作用し、血小板凝集抑制効果や血管平滑筋弛緩作用を持つことが知られている。IP receptorは、細胞膜を7回貫通するG蛋白共役型の受容体であり、主にProstacyclin (PGI2)をリガンドとする。PGI2は血管内皮から放出され、血小板や血管平滑筋細胞に存在するIP receptorに作用し、血小板凝集抑制効果や血管平滑筋弛緩作用を持つ。実際に腫瘍血管新生研究で、この系が腫瘍血管の生存に用いられているかどうかは知られていない。がん細胞ではCOX-2によって誘導されるTXA2、PGE2およびPGI2によって多段階の発がんに必要な血管形成が誘導されることから、PGI2/IP receptorシステムも同様に腫瘍血管新生に関与する可能性があるのではないかと考えた。今年度PGIとIP receptorの系について解析を進めた。IP receptor の阻害剤であるRO1138452を用いて、バイオロジカルアッセイを行ったところ、正常血管内皮細胞にくらべ、腫瘍血管内皮細胞に比べ、遊走、管腔形成が抑制された。このことがある種の腫瘍血管内皮細胞では、オートクラインで利用していることが示唆された。また、実際に分離培養したヒトの正常腎血管内皮細胞(hNEC)と腎がん血管内皮細胞(hTEC)において、Ptgirの発現をフローサイトメトリーで解析したところ、あるlotのヒト腎がん血管内皮細胞でPtgir発現陽性細胞が存在することがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
莫大な数があるCOX-2/プロスタグランジンE2(PGE2)阻害剤の中から,網羅的に今回我々が分離した癌細胞に対する抑制効果もしくは癌治療で効果のあったとする報COX-2/プロスタグランジンE2(PGE2)/プロスタサイクリン(PGI2)阻害剤をピックアップする。その際、論文報告から抽出された高精度のデータベースであるIngenuity Knowledge Base(IPA)を用いる。可能であれば、口腔癌の皮下移植モデルで、腫瘍血管抑制効果、またそれに伴う腫瘍抑制効果があるかを検討したい。既存の抗炎症剤をがんの治療に用いる可能性を追求したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使途はほとんどが消耗品であった。実験が順調に進み消耗品の購入が少なくなったため、次年度使用額が生じた。 H26年度研究費の使途はほとんどが消耗品である。アラキドン酸カスケードを介したシグナル伝達経路の抗体、解析試薬も必要と考えられる。また、血管内皮の初代培養には高価な培地を必要とする。
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Research Products
(1 results)