2014 Fiscal Year Research-status Report
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24593024
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
園田 格 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (20451974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鵜澤 成一 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (30345285)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 唾液腺癌 / 粘表皮癌 / 腺様嚢胞癌 / 遺伝子異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔内に発生する病変は多様である。唾液腺癌(Salivary Gland Tumors;SGTs)は頭頸部癌の3~5%程度といわれており、発生頻度としては少ないが病理組織型は非常に種類が多く腺様嚢胞癌や高悪性型の粘表皮癌、多形腺腫由来癌など一部の組織型においては極めて早期にリンパ節転移や遠隔転移を起こしている場合もある。当科で加療を行ったSGTsの中で粘表皮癌は 1988年から2012年までの25年間で治療法や生存期間が確認できた症例は37例(男性17人、女性20人、年齢:20歳~86歳、平均年齢:54歳)であった。原発部位は口蓋18例で最も多く、次いで下顎歯肉7例などであった。病気分類はStageⅠ・20例(54.1%)、StageⅡ・10例(27%)、 StageⅢ・1例(2.7%)、 StageⅣ・6例(16.2%)治であり、療法は生検のみ行った1例を除き36例で原発巣の切除を行った。頸部廓清術は11例に施行されpN+症を5例に認めた。疾患特異的5年・10年累積生存率はそれぞれ89.8%と79.8%であった。その概要は学会報告を行った。(第67回、日本口腔科学会学術集会)
前記と並行し口腔領域の病変に関しては、口腔領域に発生した、病理組織診断結果が表在癌であったケースを対象として検証を行い学会報告した。(第32回、日本口腔腫瘍学会学術大会、2014年1月) さらに口腔領域に関連した病変では顎変形症の術後に上顎に発生した嚢胞性疾患のまれ3症例の加療を行い第24回日本顎変形症学会総会・学術大会で学会発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当科で加療を行ったSTGsの中で発生頻度が高いと言われている粘表皮癌の症例は前述したように1988年~2012年の25年間で37例であった。粘表皮癌の病理組織像は多彩であり粘液産生細胞、扁平上皮細胞およびその中間細胞に分化し、それらの組成により2005年からWHOの分類で悪性度は3段階に分類されている。古い症例に関しては、病理医も交えて分類をし直す必要性や保存されているパラフィン包埋切片からDNA・RNA等の抽出が可能か否かまた免疫染色などの手技が可能であるかを検証中である。
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Strategy for Future Research Activity |
粘表皮癌は1996年にt(11:19)(q21:p13)が発見され2003年にはキメラ遺伝子CRTC1(19q13)、MAML2 (11q21)と融合蛋白が発見され、2006年には粘表皮癌症例71例を解析した結果、CRTC1-MAML2遺伝子を粘表皮癌の38%に認める一方で、他の唾液腺腫瘍には認めない事やCRTC1-MAML2キメラ遺伝子を持っている腫瘍は、組織悪性度が低く予後が良好と報告された。また2013年には粘表皮癌症例31例を解析、HER2,EGFR ゲノムコピー数異常はMAML2と関係なく組織悪性度が高い腫瘍に有意におこるなどが報告されている。 これらの結果をふまえて当病院で保存している粘表皮癌症例において候補遺伝子の異常や既存のキットや次世代シーケンサーなどを使用し全ゲノムコピー数異常解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
実験機器の購入や学会参加費・研究報告などに適宜使用した。H26年度はパラフィン切片より原発巣からのDNA等の抽出を行う予定であったが、古い症例ではサンプルの発見自体が困難であり、抽出したDNAが研究・解析に使用出来る品質を保っていないなどの問題が生じており次年度への繰り越し助成金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
抗体や培養等の各種試薬の消耗品および実験機器や学会参加旅費・研究報告に使用予定である。
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Research Products
(1 results)