2013 Fiscal Year Research-status Report
BCGと抗癌剤併用療法による抗腫瘍転移効果についての分子イメージング解析研究
Project/Area Number |
24593030
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
柳 文修 岡山大学, 大学病院, 講師 (50284071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻極 秀次 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70335628)
畦坪 輝寿 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30633606)
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Keywords | BCG / 口腔癌 / 免疫療法 |
Research Abstract |
平成25年度は、口腔癌担癌マウスモデル(C3H:HeNマウス、同マウス由来頬部扁平上皮癌sq-1979株)の作製手法に変更を加えた。従来の手法である、背部に播種した原発腫瘍を摘出しないで投薬し、遠隔転移の有無を検討した場合、原発腫瘍が大きくなりすぎてしまい、転移検討に支障があるためである。そこで新たな手法として、背部皮下に腫瘍播種し、一定の大きさに達した腫瘍を摘出し、それ以降に各投薬群に分類、投薬を開始した。この手法の採用によって腫瘍の局所再発ならびに遠隔転移の有無と頻度を検討する事が可能となった。また、この手法はより臨床的な手法に近いものとなっており、有意義であると考えられ、その結果は良好であった。局所再発については各投薬群(5-FU単独投与群、5-FU/BCG併用投与群、BCG単独投与群)のうち、5-FU/BCG併用投与群において局所再発率の低下を認めた。一方、遠隔転移についてはどの群においても頻度は低く、肺への転移は数例にとどまり、この事は原発腫瘍摘出で腫瘍の残存が減少したことによるものと考えられた。しかし、この新手法による特筆点は延命効果についてである。原発腫瘍を摘出する為、非投薬コントロール群も延命がなされ、各投薬群との比較においても有意差を得にくい状況となったが、唯一5-FU/BCG併用投薬群においては有意差を持って延命効果を認める結果となった。このことは5-FUを中心とした口腔癌化学療法において、BCGを併用することで延命効果を得られるという画期的なもので、口腔癌治療の可能性を示唆できる結果であった。 最終年度である今年度はそれぞれの群における遠隔転移頻度をPET撮像、マウス血清を用いたサイトカインアレイによって上記成果の作用機序の解明を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔癌担癌マウスモデル作製~腫瘍転移効果検討については、モデルマウス作製手法を変更による作業量の増大により、若干ではあるが遅延している。しかし、結果は良好で、全体的には当初計画以上の達成度で、様々な学会において報告する事が出来た。5-FUにBCGを併用することで有意差を持って延命される成果は、最終年度の追試ならびに機序解明(サイトカインアレイ)を行うことになり、今後の完成を期待できるものとなった。全身転移の徹底的検索には、PET撮像を予定しており、当初予定通りである。PET撮像料金の大幅な値下げに伴う繰越金が発生したが、今年度はその繰り越し金を含め、さらに撮像回数を当初予定よりも増やすように計画を変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は(原発腫瘍摘出後投薬開始マウスモデルにおいて)BCG/5-FU併用投与群による再発抑制効果を明らかにできたこと、また同群における有意な延命効果を明らかにできたことから、最終年度は、(原発腫瘍摘出後投薬開始マウスモデルにおいて)遠隔転移の阻害作用についてPETを利用して検討、さらに撮像後のモデルマウスから各臓器摘出し、肺その他の転移の有無を検討する予定である。これは当初の計画から方針の変更はない。また、各投薬条件における各種サイトカイン発現の多寡状況を解明するため、サイトカインアレイを受託にて検討する予定である。これは当初計画であったマイクロアレイに代替する手法として取り入れるものである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
腫瘍転移効果の判定に関し、より効率的かつ臨床の実態に近い状況を模倣するため、研究手法に若干の変更を加えた。ハード面ではPET装置の調整のため、使用不可となることがあり、安定的に撮像することが難しかった。これらのことにより、モデルマウス作製時期をPET撮像スケジュールに合わせることが難しい場合があり、PET撮像回数が不十分となった。また、PET撮像料金の大幅な値下げにより、使用額を26年度へと繰り越すことになった。 繰り越し金額の多くは今年度に使用するPET撮像に充てる予定である。また、モデルマウスの血清を用いたサイトカインアレイ(受託)に充てる予定である。抗腫瘍効果については予想以上の研究成果が得られており、研究成果発表の機会を増やす予定である。今年度配分予定の研究費の使用計画は当初より変更はない。
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Research Products
(4 results)