2012 Fiscal Year Research-status Report
NK細胞活性化受容体リガンドをターゲットとした口腔癌に対する個別化治療の開発
Project/Area Number |
24593032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
谷 亮治 広島大学, 病院(歯), 助教 (10291486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 哲治 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (00169153)
虎谷 茂昭 広島大学, 病院, 講師 (90172220)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | MICA / sMICA / NK細胞 / 口腔癌 / 蛋白分解酵素 |
Research Abstract |
癌細胞が、細胞表面にMICA(MHC class I chain-related molecule A)を発現しているにもかかわらず、NK細胞などMICA-NKG2Dを介した免疫監視機構から逃れ、排除されないのは何らかの免疫回避システムが存在していることが考えられており、その免疫回避システムの1つとして sMICA(soluble MICA)が報告されている。そこで、当科で樹立したOSCC細胞株でWestern Blot法およびNorthern Blot法を用いて細胞抽出液中のMICA蛋白およびMICA mRNAの発現を検討した。その結果、いずれのOSCC細胞株もMICA mRNAを同程度発現していたが、Western Blot法の結果からKO細胞ではMICA蛋白の発現は非常に低いことが明らかになった。一方、ELISA法を用いて培養上清中のsMICA濃度を検討した結果、sMICAの産生量はKO細胞において、最も高いことを明らかにした。さらに、無血清培養系でKO細胞を大量培養し、培養上清中から抗MICA抗体結合アフィニティーカラムを用いてKO細胞が産生するsMICAの精製を行った。精製sMICAを脱糖鎖処理し、Western Blot法で検討したところsMICAの分子量は24000であった。精製したsMICAをMALDI/TOF-MSにより質量解析を行い、MICA分子と一致するアミノ酸配列を検索した結果、sMICAは、MICA分子のα3ドメインの中央付近で切断されている可能性が考えられた。同領域でMICA切断能を有する蛋白分解酵素について検討し、MMP-3とMMP8とMMP-2/9の3つのMMPsが候補として考えられた。また、それぞれ産生されるsMICAの分子量は20600, 21100, 24200と予測され、MMP-2/9が最も関与している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎的検討は順調に進んでいるが、臨床的検討は症例数の蓄積が必要で、治療効果や予後など臨床経過を観察する期間が必要なため、もう少し時間を必要とする。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔癌患者のMICA遺伝子多型の解析ならびに治療前後の可溶性MICA蛋白濃度の検索として、当科で加療中の口腔癌患者および健康人ボランティアより,十分なインフォームドコンセントを行った後,末梢血または腫瘍組織を採取し,DNAを抽出する。同DNAを用いてMICAの遺伝子多型をPCR法およびフラグメント解析を用いてMICA遺伝子多型を検索する。DNA増幅は,Applied Biosystems 社製のDNAサーマルサイクラー(Gene Amp PCR System9700),フラグメント解析は,当科において保有しているBeckman Coulter 社製のGenetic Analysis systemを用いて解析する。今回,採取した血液サンプルおよびDNAサンプルは,ナンバリングし,超低温フリーザーに保存する。患者の各治療(化学療法,放射線療法,免疫療法,手術療法)前後の血清中の可溶性MICA蛋白濃度をELISA法を用いて測定する。ELISAにはBio-RAD社製 Model550 Microplate Readerを当科で保有しているのでこれを使用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験設備として,DNA増幅は,Applied Biosystems 社製のDNAサーマルサイクラー(Gene Amp PCR System9700),直接塩基配列決定は,Perkin-Elmer社製のABI PRIZM310 Genetic Analyzer,定量PCR法にて検討するDNA増幅は,Roche社製のLight Cycler,さらに,遺伝子多型解析用には,Beckman Coulter 社製のGenetic Analysis systemを当科において既に保有しているのでこれらを使用する。 また,本研究を遂行するために,試薬や培養用プラスチック製品などの消耗品費として年間100万円が必要と考えられる。
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