2013 Fiscal Year Research-status Report
進行・再発・切除不能口腔癌に対する新規機能温存療法の開発
Project/Area Number |
24593034
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
原田 耕志 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60253217)
|
Keywords | 人工癌幹細胞 / 脱分化 / 口腔癌細胞 / エピソーマルベクター |
Research Abstract |
OCT3/4、SOX2、KLF4、L-MYC、LIN28、p53-shRNA発現用エピソーマルベクター(pCXLE-hOCT3/4-shp53-F、pCXLE-hSK、pCXLE-hULの3種類)を電気穿孔法により、口腔癌細胞株(HSC2)へ遺伝子導入することによって人工的に癌幹細胞の樹立を行い、induced CSC-like-HSC2 cells (iCSCL-HSC2)と名付け、またEGFP発現用エピソーマルベクター(pCXLE-EGFP)を同様にHSC2に遺伝子導入したHSC2/EGFPと親株であるHSC2とを比較検討した。その結果、MTT assayによる細胞増殖能は0h時と比較して72h後で、HSC2は4.41倍、HSC2/EGFPは4.45倍、iCSCL-HSC2は5.15倍とHSC2/EGFPやHSC2と比較してiCSCL-HSC2は高い増殖能を示した。またコロニー形成能(Boyden chamber)、Migration能(Boyden chamber)、浸潤能(Scratch assay)、sphere形成能(低付着性細胞培養プレート使用)においても同様にHSC2/EGFPやHSC2と比較してiCSCL-HSC2が有意に高かった。ただし、Western blot.法による癌幹細胞マーカー等の発現を検索しても、CD44v10、ALDHA1、ABCG2、CK17についてはHSC2、HSC2/EGFP、iCSCL-HSC2においてそれらの発現に差異を認めなかった。なおMTT assayによる各種抗癌剤等に対する抵抗性は、HSC2/EGFPやHSC2と比較してiCSCL-HSC2はDocetaxelに対して1.08倍、ジクロロ酢酸に対して1.15倍、Cisplatinに対して1.19倍、Sulfasalazineに対して1.37倍、5-FUに対して1.88倍耐性を示した。5-FUに対する顕著な耐性のメカニズムは今後検討予定である。免疫不全マウス背部皮下への細胞移植による腫瘍形成能は、HSC2は100000個、HSC2/EGFPは100000個、iCSCL-HSC2は5000個で腫瘍を形成可能であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人工癌幹細胞の樹立を繰り返し行い、親株やEGFPのみ遺伝子導入したトランスフェクタントと比較して、明らかに悪性度の高いiCSCL-HSC2を安定して培養できている。iCSCL-HSC2に対して既存の抗癌剤よりも顕著な増殖抑制効果を発現する薬剤を検索し、5-FUやCisplatinよりジクロロ酢酸の方が有効である事は確認できたが、現時点ではDocetaxelが最も効果が高く、更なる検討を行っている。人工癌幹細胞を標的としたレジメンの検討が進んでいるため、おおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
人工癌幹細胞を標的としたレジメンの確立を急ぐ。このため、HSC2、iCSCL-HSC2間に特異的な発現変動を示す蛋白を検出するためにプロテオーム解析を行ったが、候補蛋白が見出せなかった。今後、プロテオーム解析を繰り返すとともに、マイクロアレイ解析も行う予定である。また、iCSCL-HSC2は5-FUに対して顕著に耐性を示したため、HSC2、HSC2/EGFP、iCSCL-HSC2における5-FUの効果予測因子であるTS、DPD、OPRTの発現を検索することで、5-FU耐性を示す理由も併せて検索したいと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究支援雇用者が、家族の緊急手術とその後の介護等の必要性から仕事を休むこととなり、人件費・謝金の使用が予定より少なくなったこと、また物品費としてプロテオーム解析を行い、マイクロアレイ解析を行っておらず、マイクロアレイ使用分が未使用であることから、次年度使用額が生じた。 研究支援雇用者は2014年から職場に復帰している。また、これまで行ってきたプロテオーム解析では、人工癌幹細胞における悪性度が高まることと関連する候補因子が検出できなかったため、マイクロアレイ解析やIPA解析により候補因子を絞り込む予定であり、次年度に使用する予定である。
|