2014 Fiscal Year Annual Research Report
頭頚部癌における予後予測因子SIRT1の細胞内局在に依存した細胞生物的機能の解明
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24593043
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Research Institution | Kanagawa Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
菊地 慶司 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, その他 (90372094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 映 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, その他 (10456395)
野口 誠 富山大学, その他の研究科, 教授 (50208328)
高野 康雄 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, その他 (60142022)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | SIRT1 / 頭頸部癌 / TAp63 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)でのSIRT1の癌抑制機能の分子論的背景:SIRT1がHNSCCのがん幹細胞からの分化を促進するのではないかという仮説をたてて検討を行った。上皮幹細胞あるいはHNSCC幹細胞の維持に関わると考えられる10遺伝子の発現を8種類のHNSCC由来の細胞株で検討し、それら遺伝子の発現とSIRT1の発現との相関、また遺伝子相互の発現レベルの相関を検討した。その結果、これらの遺伝子の発現パターンはHNSCC細胞の分化度を反映しうるが、SIRT1の発現はDNp63遺伝子との逆相関を示した以外はどの遺伝子の発現とも相関を持たないこと、さらにSIRT1の発現をノックダウンした場合に発現が変動(低下)するのはTAp63遺伝子のみであることが分かった。実際にHNSCCにおいてSIRT1の発現とTAp63遺伝子の発現が相関するかどうかを、HNSCCの生検組織のホルマリン固定-パラフィン包埋標本20検体よりRNAを抽出しリアルタイムRT-PCRにより検討した。SIRT1 mRNAの発現とTAp63 mRNAの発現の間に有意な正の相関が認められた。TAp63は細胞の分化やアポトーシスの誘導に関わるほか、がん細胞の浸潤能を抑制するなどして癌抑制遺伝子として機能することが報告されている。これらの結果は、① SIRT1はHNSCC細胞においてがん幹細胞・がん細胞の分化に寄与するとは考えにくい、② SIRT1がHNSCCにおいて癌抑制的に機能する背景に癌抑制遺伝子であるTAp63遺伝子の発現を維持している可能性がある、ことを示している。 2)SIRT1の細胞内局在と機能:SIRT1の核内移行シグナル(2カ所)に変異を導入した変異体にEGFPを融合した発現ベクターを作成し、HSC2細胞に導入して変異SIRT1蛋白の細胞内局在とその発現の効果を1)の結果より細胞の浸潤能に注目して検討を行った。HSC2細胞の浸潤能をコラーゲン3次元培養系で評価したが、SIRT1の細胞質への局在にともなって浸潤能が昂進するような傾向は認められなかった。
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