2015 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸オクタカルシウム・コラーゲン複合体の止血作用と骨再生能の短期的・長期的効果
Project/Area Number |
24593045
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松井 桂子 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00302159)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌倉 慎治 東北大学, 医工学研究科, 教授 (80224640)
高橋 哲 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (60226850)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | リン酸カルシウム系生体材料 / リン酸オクタカルシウム(OCP) / OCP/Collagen複合体 / ビーグル犬 / 人工的骨欠損 / 骨再生 / 止血作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨再生材料として開発中のリン酸オクタカルシウム(OCP)とブタ皮膚由来のアテロコラーゲンの複合体であるOCP/Collagenを用い,ビーグル犬の各種人工的骨欠損モデルにおける優秀な骨再生能について継続的に実験・研究し,さらに新生骨組織の性状は健常骨と同等であることも確認した.ところで,人工的頭蓋冠臨界骨欠損モデル作製時,骨開削中に多量に出血が見られる場合があり,その際OCP/Collagen を埋入すると迅速に止血するという経験をした.そこで,本研究では口腔外科臨床上最も多い外科処置である抜歯時にOCP/Collagenを応用し,止血材としての使用方法と,その後の抜歯窩治癒過程における歯槽骨形態への影響に関して検討した. 動物実験として,ビーグル犬の下顎両側第2・第3前臼歯抜歯窩を連続させ,同部にOCP/Collagenを埋入した.抜歯後処置として,片側は開放創,他側は周囲軟組織被覆により完全閉鎖創として比較した.埋入実験から3か月後,歯槽骨形態は,垂直的・頬舌的幅径において両側有意差なく同等な治癒が得られたが,開放創において頬舌的幅径が大きい傾向がみられた.また,本材料使用による感染等の異常所見は認められなかった.これにより,OCP/Collagenは抜歯窩を開放創として填入する使用方法が可能であることが確認された. さらに同実験系で,片側にOCP/Collagen,他側に既存コラーゲン使用吸収性止血材を埋入し歯槽骨形態について比較した結果,OCP/Collagen埋入部位は既存の止血材埋入部位と比較して垂直的幅径がやや大きい傾向がみられた. 以上より,OCP/Collagenは普通抜歯窩において,簡便に埋入して使用することで抜歯窩の止血に奏効し,長期的には顎堤形態の維持に有効であることが確認され,ソケットプリザベーションのため臨床応用可能であることが示唆された.
|