2013 Fiscal Year Research-status Report
酸感受性イオンチャネルを介した術後痛のメカニズム ―乳酸は痛みを増強するか―
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24593047
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
城戸 幹太 東北大学, 大学病院, 助教 (40343032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正木 英二 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (40221577)
大谷 法理 東北大学, 歯学研究科(研究院), 非常勤講師 (60338879)
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Keywords | PAR-2 / 術後痛 / 肥満細胞 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に続き、酸感受性チャネル(Acid Sensitive ion channels; ASICs)のさらに上流にあると思われるProtease activated Receptor-2(PAR-2)の術後痛モデルにおける作用機序を、行動評価法並びに電気生理学的手法を用いて検討した。疼痛行動評価においては、PAR-2 agonist であるSLIGRL-NH2をラット足底に投与すると、投与早期に自発痛が生じ、1日後まで機械刺激に対する閾値の低下、4日後まで熱刺激に対する域値が低下した。このことは、手術で組織が障害されると早期に肥満細胞が脱顆粒し、そこから遊離するトリプターゼなどのセリンプロテーゼが、一次神経終末に存在するPAR-2の活性化を促し、術後痛を生じている可能性が示唆された。さらにこの機序を詳細に検討するために、足底皮膚-神経標本を用いて電気生理学的に検討した。PAR-2 agonistによりC線維の機械刺激・熱刺激に対する域値の低下および反応性の上昇が認められた。以上から、PAR-2が術後痛の発生に関与していることが強く示唆された。これには、ASICsのみでなく、Transient receptor potential(TRP)チャネルの関与が強く示唆されることが近年報告された。このため、現在 PAR-2およびTRPチャネルの相互作用について検討を始めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、Protease-activated receptor 2の術後痛に関する影響を検討し、国際学会および国内学会にてその結果の一部を発表した。さらに術後痛発生のメカニズムを解明するために、現在Transient receptor potential チャネルの関与を検討しており、結果が出次第国際学会および論文発表を行えるよう現在急ピッチで実験を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で、術後痛に関するPAR-2のおよその関与は理解できた。次年度はさらにこの研究を進め、TRPチャネルとの相互作用について、in vivo およびin vitro nerve preparation にて検討を行う。特に、新しいTRPチャネルであるTRPV4およびTRPM2に関しては、世界的にもまだ検討されておらず、新しい知見として得られる可能性がある。次年度ではこの関与を明らかにし、学会発表並びに論文発表をしていく所存である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成26年度請求額とあわせ、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。 試薬などの消耗品に使用する予定である。
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