2013 Fiscal Year Research-status Report
経口投与用ミダゾラム封入ステルス型ナノ薬物キャリアの開発
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24593055
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宮脇 卓也 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00219825)
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Keywords | 歯学 / 薬理学 |
Research Abstract |
平成25年度は、平成24年度に作製したポリエチレングリコール(PEG)外包ミダゾラム封入ナノリポソームの封入率と安定性を確認した上で、動物(ウサギ)に経口投与した際のミダゾラムの血中薬物動態を調べた。PEG外包・ナノ化の効果を評価するために、PEGに外包されておらず、ナノ化もしていないミダゾラム封入リポソーム(従来型リポソーム)溶液、およびミダゾラム溶液を経口投与した場合と比較した。ウサギへの経口投与法は、従来型リポソームである「経口投与用リポソーム製剤」を開発した際に確立した方法を用いた。ミダゾラムの血中濃度は、投与後5、10、20、30、60、90、120、180、240、300、および360分に大腿動脈より採血した検体から、高速液体クロマトグラフィー (HPLC)を用いて測定した。2mg/kgのミダゾラム量を、PEG外包ミダゾラム封入ナノリポソーム溶液(n=4)、従来型リポソーム溶液(n=4)、およびミダゾラム溶液(n=5)で、ウサギ(10~11週齢、体重2.0-2.1kg)に経口投与したところ、ミダゾラムの血中濃度はすべての溶液で投与後10分でピークになった。平均ピーク値はそれぞれ498.6ng/mL、348.0ng/mL、286.6ng/mLであり、ミダゾラム溶液および従来型リポソーム溶液での血中濃度と比較して、PEG外包ミダゾラム封入ナノリポソーム溶液での血中濃度が有意に高かった。また、血中濃度曲線下面積(AUC)も有意に高かった。これらの結果から、ミダゾラムをPEG外包ナノリポソームにすることでミダゾラムのバイオアベイラビリティが高まることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度にポリエチレングリコール(PEG)外包ミダゾラム封入ナノリポソームの作製方法を確立し、平成25年度には作製したPEG外包ミダゾラム封入ナノリポソームの封入率と安定性を確認した上で、動物(ウサギ)を用いたin vivo実験を行った。その結果、ミダゾラムをPEG外包・ナノ化することによって、経口投与時のバイオアベイラビリティが高くなることが確認できた。バイオアベイラビリティが高くなる要因としては、消化管での吸収率が高くなった可能性と、肝臓での代謝が抑制された可能性がある。特にPEG外包には貪食細胞による補足を回避する効果があるため、肝臓での代謝が抑制されるステルス効果を有していることが期待できる。よって、これまでの研究で当初の予定どおりの十分な成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、平成24年度に作製したPEG外包ミダゾラム封入ナノリポソーム溶液を、動物(ウサギ)に静脈内投与し、ミダゾラムの血中薬物動態を評価する。経口投与と同様に、PEG外包・ナノ化の効果を評価するために、PEGに外包されておらず、ナノ化もしていないミダゾラム封入リポソーム(従来型リポソーム)溶液、およびミダゾラム溶液を静脈内投与した際の血中薬物動態と比較する。この研究によって、ミダゾラムをPEG外包・ナノ化することによって、肝臓での代謝を回避することのできるステルス効果が付与されているかどうかを確認する。
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