2015 Fiscal Year Annual Research Report
レミフェンタニルの二量体化オピオイド受容体脱感作メカニズムの解明
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24593059
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
倉田 眞治 長崎大学, 病院(歯学系), 助教 (20325666)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯科麻酔学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,急性耐性・痛覚過敏形成への関与が示唆されるレミフェンタニル(RF)の,周術期における最適な鎮痛法確立のため,RFの①単量体・二量体オピオイド受容体の細胞内局在に与える影響を様々な条件下で検討②臨床で頻用されるフェンタニルなどの各種オピオイド製剤や各種鎮痛剤併用下での,単量体・二量体オピオイド受容体の細胞内局在に与える影響を比較検討を行い,得られた結果をもとに,①各種鎮痛剤が単量体・二量体オピオイド受容体の耐性・痛覚過敏形成に与える分子機構を明らかにし,②耐性・痛覚過敏形成を克服するための新規鎮痛法開発の基盤構築を目的にしている。 平成26年度までに行ってきた,蛍光タンパクVenusを結合したμオピオイド受容体μOR-Venusを発現させたBaby Hamster Kidney(BHK)細胞に様々な条件下(濃度・作用時間・各種鎮痛薬併用など)におけるRF作用後の細胞内局在の評価に加え,平成27年度は新たに客観的定量化のため,Human Embryonic Kidney (HEK293)細胞における,シグナルペプチド付加[SP(+)]Halotag-μORを用い細胞内局在のリアルタイム解析を開始した。 リアルタイム解析の結果,RFは濃度依存性にμORの細胞内へのinternalization(細胞内移行)を促進する傾向が認められた。また,S(+)-ketamineはRFによるμORのinternalizationを抑制する傾向が認められた。 これらは,BHK細胞における,RFによる濃度依存性のμORに対するrecycling抑制効果,および,S(+)-ketamineはRFによるμORのinternalization抑制,recycling促進の結果を裏付ける可能性を示唆している。また,高濃度RF使用による急性耐性発現・痛覚過敏発症,S(+)-ketamineの急性耐性予防効果にはμORのinternalization/recycling様式が影響を与えている可能性が示唆された。 現在,論文作成・投稿準備中であるが,より詳細なデータ解析と解析結果に基づいた新たな研究計画立案中である。
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