2012 Fiscal Year Research-status Report
歯の移動時のCO2レーザーにおける疼痛軽減効果の作用機序の解明とその臨床応用
Project/Area Number |
24593076
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
出口 徹 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (30346457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 照子 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (00127250)
清流 正弘 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80510023)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 疼痛抑制 / CO2レーザー |
Research Abstract |
平成24年度の研究実績として、ラットの上顎第一と第二臼歯の実験的矯正移動を行ない、歯の移動開始後1,3,5,7,14,28日目にラットの灌流固定を行なった。上顎を取り出し後固定を行い、EDTAにて脱灰したのち凍結させ、中脳路核や三叉神経節も凍結させ 、ミクロトームにて20μmの連続凍結切片を作成した。作成した切片の免疫染色ならびに蛍光免疫染色を行ない、 反応部位におけるマイクログリア、アストロサイト及びそれぞれの神経ペプチドやc-fos蛋白の局在を落射蛍光顕微鏡及び共焦点レーザー顕微鏡から得られる蛍光像から断層像を再構築し、三次元距離計測ソフトおよび体積 ・表面積測定ソフトを用い、神経組織の三次元構築を行い、定量化した。 その結果、実験的歯の移動後3,5,7,14日では、尾側亜核の実験側においてマイクログリアならびにアストロサイトの集積や突起の伸展が認められた。吻側亜核においては、マイクログリアは3,5,7,14日後に、アストロサイトは7,14日後に実験側において増加ならびに伸展がみられた。また、実験的歯の移動後3、5、7日に歯の移動側ではc-Fos陽性の神経線維周囲にマイクログリア、アストロサイトの集積が認められた。14日後においては、マイクログリアならびにアストロサイトの集積は認められなかった。 これらの結果は、グリア細胞が痛みの発達、維持に関与していることを示唆している。末梢神経の侵害受容により、中枢では神経の活性化が起こり、神経伝達物質を放出し、周囲のマイクログリアの活性化を引き起こす。この早期のマイクログリアの活性化は、アストロサイトの活性化を導き、痛みを維持させると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は、実験的歯の移動時におけるCO2レーザー照射の影響について検討する予定であったが、CO2レーザーの照射条件を決定するのに時間を要し、実験がやや遅れている。CO2レーザー照射時のラット組織内の温度変化等の結果を参考にし、レーザーの照射条件は1.0W、 30秒間行うこととし、歯の移動のための矯正用ゴムを挿入した部位の歯周組織にCO2レーザーを照射する方法で、現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、平成25,26年度に、実験的歯の移動後の三叉神経脊髄路核尾側亜核、吻側亜核において、モノアミン、プレプロエンケファリンmRNAの発現の検討を行い、CO2レーザー照射が、痛みの下行抑制系に及ぼす影響について評価する。また、CO2レーザー照射が歯周組織に与える傷害について評価するために、培養神経細胞に直接CO2レーザーを照射し、神経細胞の構造、神経ペプチドの放出の変化およびそれらが回復するまでの過程を評価する。さらに、培養骨髄細胞を用い、CO2レーザー照射による骨分可能の評価を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額と合わせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(19 results)