2013 Fiscal Year Research-status Report
三次元的骨細胞ネットワークと機械的刺激の関連性について
Project/Area Number |
24593090
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
菅原 康代 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70379775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳田 剛志 岡山大学, 大学病院, 助教 (90534793)
村上 隆 岡山大学, 大学病院, 助教 (00534786)
石原 嘉人 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70549881)
住吉 久美 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80625161)
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Keywords | 骨細胞 / 骨芽細胞 / メカニカルストレス |
Research Abstract |
骨細胞はメカニカルストレスを感知し、骨代謝を制御すると考えられており、国内外で注目されている細胞である。骨代謝の不調は歯科矯正学における歯の移動が困難になるだけでなく、各種の骨疾患の原因ともなるため、骨細胞の機能を知ることは重要である。しかしながら、これまで骨細胞は周囲を硬い骨基質中で覆われているため、その3次元構造を観察することさえ困難であった。そのため、骨組織中の骨細胞の突起によるネットワークが本当にメカニカルストレスを感知し、機能が変化するかどうかは未だ解明されておらず不明である。 そこで我々の研究グループが考案した、骨組織中の骨細胞、骨芽細胞のアクチン線維を蛍光色素と共焦点レーザー顕微鏡を用いて3次元構築し、形態計測をおこなう方法を本研究に用いることとした。近年マウスへの応用が可能となったため、メカニカルストレスが通常通り負荷されたマウスと軽減されたマウスを実験動物として使用した。その結果メカニカルストレスが軽減されたマウスの骨細胞の配列は通常通り付加されたマウスと比べ、不規則になった。また、骨細胞1個から出る突起の数は優位に減少した。さらに、突起の長さ、細胞表面積、細胞体積も優位に減少した。また、骨細胞核配列も、規則正しい配列から、不規則になった。これらの事からメカニカルストレスの有無が骨細胞の配列や形態を変化することが分かった。これらの変化は長管骨で実験を行ったが、その中でも皮質骨の骨細胞により大きな変化が現れた。 さらに、骨の中のカルシウム動態を調べる実験も合わせて行った。その結果、生きた骨の中の骨細胞および骨芽細胞のカルシウム動態をリアルタイムで観察できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨の実験的モデルマウスの確立と骨細胞ネットワークの三次元的形態観察および機能観察が本年度の実施計画予定であった。現在まで、メカニカルストレスの軽減されたマウスの長管骨を作成し、その形態を3次元的に形態観測を行い、メカニカルストレスの有無が骨細胞の配列や形態を変化させることをつきとめることができた。また、生きた骨の中のカルシウム動態を見る手法を確立しているため、これらの実験的モデルマウスに応用する段階となったことより、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、上記の実験的モデルマウスから骨細胞を単離し、メカニカルストレスを付与された細胞と軽減された細胞を観察し、変化を調べていくこととする。また、メカニカルストレスが骨細胞の機能まで影響を及ぼしているかをネットワークの成り立ちの面から探っていく。さらに、生きた骨の中の動態についてもあわせて観察していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は実験モデル動物の作成に時間を費やしたため、備品の購入には至らなかったことが次年度使用額が生じた理由である。本年度は実験モデルマウスを確立し、それらの形態観察やまた、メカニカルストレスを負荷または軽減することによる骨細胞のネットワークの変化を追うことができたため、次年度、備品を購入し、さらなる解析および観察を行うとともに動的変化を追っていく。また、今年度は海外出張研修や、海外学会発表を行わなかったため旅費の支出が計画よりなかったことも理由である。また、実験自体も今年度は研究代表者及び研究分担者で行ったため、謝金や人件費を支出しなかったことも次年度使用額が生じた理由である。 本年度、実験モデルマウスを確立することができた。そのため、次年度は顕微鏡を備品として購入し、実験動物の解析およびメカニカルストレスによる骨細胞ネットワークの変化を詳細に観察及び計測していく。また、次年度は海外学会発表や研修なども行っていく予定である。また、実験に関する人件費、謝金等に関しても必要に応じて支出し、実験自体を計画通りの目標に向けて遂行、達成していく予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Gap-junction-mediated communication in human periodontal ligament cells.2013
Author(s)
Kato R, Ishihara Y, Kawanabe N, Sumiyoshi K, Yoshikawa Y, Nakamura M, Imai Y, Yanagita T, Fukushima H, Kamioka H, Takano-Yamamoto T, Yamashiro T.
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Journal Title
J Dent Res
Volume: 92
Pages: 635-40
DOI
Peer Reviewed
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