2012 Fiscal Year Research-status Report
人工多能性幹細胞(iPS細胞)を利用した、ロンベルグ症候群の病因解明に関する研究
Project/Area Number |
24593091
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
川邉 紀章 岡山大学, 大学病院, 講師 (00397879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 康代 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70379775)
柳田 剛志 岡山大学, 大学病院, 助教 (90534793)
住吉 久美 岡山大学, 大学病院, 医員 (80625161)
山城 隆 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70294428)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ロンベルグ症候群 / 歯根膜細胞 / 人工多能性幹細胞(iPS細胞) |
Research Abstract |
平成24年度に実施した研究成果として、まずロンベルグ症候群歯根膜細胞の採取を行い、培養してロンベルグ症候群歯根膜細胞の樹立を行った。そして、このロンベルグ症候群歯根膜細胞を用いて、間葉系幹細胞特性の同定を行った。間葉系幹細胞の特性としては、①細胞付着性、②表面抗原マーカーの発現、③多分化能、の3項目について検討を行った。比較は、健常者から採取された健常歯根膜細胞を用いた。その結果、ロンベルグ症候群歯根膜細胞は、細胞付着性に違いは認められなかった。しかし、表面抗原マーカーの発現パターンには違いが認められ、ロンベルグ症候群歯根膜細胞は健常歯根膜細胞に比べてICAM-1、NCAM-1、SSEA-4の発現が高く、ICAM-2の発現が低いことが確認された。また、多分化能の違いを調べるために、脂肪細胞、骨芽細胞への分化能を比較した。その結果、ロンベルグ症候群歯根膜細胞は、oil red O染色性の脂肪滴を形成する脂肪細胞への分化能は有していたが、その形成能は健常歯根膜細胞と比較して有意に低かった。また、同様に、alizarin red S染色性の石灰化物沈着能を有する骨芽細胞への分化能も有していたが、その形成能も健常歯根膜細胞と比較して有意に低かった。また、ロンベルグ症候群歯根膜細胞を用いたiPS細胞の作成も行った。この細胞は今後の研究を行うためにも必要であるので、複数のクローン細胞株を樹立し、それぞれのクローン細胞株の特性や違いを明らかにするための検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した本研究の目的は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いて、顎顔面顎顔面形態に異常を及ぼす先天性疾患の一つである「ロンベルグ症候群」の病因を解明することであった。この目的を達成するために、平成24年度の研究計画では、「ロンベルグ症候群歯根膜細胞の幹細胞特性を明らかにする」ことと、「ロンベルグ症候群歯根膜細胞がin vivoにおいて組織形成へ及ぼす影響を明らかにする」ことを行う予定としていた。このうち前者については、岡山大学病院矯正歯科を受診したロンベルグ症候群患者から病変部の歯を採取し、歯根膜細胞の培養を行った。また、このロンベルグ症候群歯根膜細胞の間葉系幹細胞特性を調べ、細胞付着性、表面抗原マーカーの発現、多分化能、について検討を行った。このことから、平成24年度の研究計画の「ロンベルグ症候群歯根膜細胞の幹細胞特性を明らかにする」については、研究は順調に進展していると考えられる。また、後者については、ロンベルグ症候群歯根膜細胞を用いて人工多能性幹細胞(iPS細胞)の作成を行った。この人工多能性幹細胞(iPS細胞)の作成の過程で、研究の精度を高めるために、当初の研究計画の予定にはなかった細胞のクローン化を追加して行った。細胞のクローン化には、単一細胞の分離・増殖だけでなく、それぞれの細胞の性質の確認も必要になるため、非常に時間がかかる。そのため、当初の計画では平成24年度に行う予定であった免疫不全マウスへの移植実験は行うことができなかったが、内容が増えたことを考慮すれば、「ロンベルグ症候群歯根膜細胞がin vivoにおいて組織形成へ及ぼす影響を明らかにする」についてもおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以降の研究の推進方策としては、まずは平成24年度に行っていた「ロンベルグ症候群歯根膜細胞がin vivoにおいて組織形成へ及ぼす影響を明らかにする」について、ひきつづき行っていく。ロンベルグ症候群歯根膜細胞から作成した人工多能性幹細胞(iPS細胞)のクローン細胞の幹細胞特性の確認を行い、ロンベルグ症候群の病態を反映していると思われるクローン細胞の選別を行う。その後、このクローン細胞を用いて、免疫不全マウスへの移植実験を行い、ロンベルグ症候群歯根膜細胞がin vivoにおいて組織形成へどのような影響を及ぼすのかを調べていく。また、これらの研究と平行して、当初の交付申請書に記載してある「ロンベルグ症候群歯根膜細胞に特異的に発現する遺伝子の同定をおこなう」と「ロンベルグ症候群歯根膜細胞に特異的に発現する遺伝子の機能を明らかにする」の研究も推進していく。ロンベルグ症候群歯根膜細胞と対照群として健常健常歯根膜細胞を用い、ロンベルグ症候群歯根膜細胞に特異的に発現している遺伝子を調べていく。mRNAの発現はマイクロアレイを用いて調べていく。また、マイクロアレイなどmRNAの発現を調べるだけでは検出できない特異的な糖鎖発現については、フローサイトメトリーを用いて調べていく。これらのスクリーニングによって得られた遺伝子群の一部は、ロンベルグ症候群の原因遺伝子の候補であるため、これらの遺伝子の強制発現または発現抑制を行い、原因遺伝子の特定を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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Research Products
(20 results)
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[Journal Article] Roles of heparan sulfate sulfation in dentinogenesis.2012
Author(s)
Hayano S, Kurosaka H, Yanagita T, Kalus I, Milz F, Ishihara Y, Islam MN, Kawanabe N, Saito M, Kamioka H, Adachi T, Dierks T, Yamashiro T.
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Journal Title
J Biol Chem
Volume: 287
Pages: 12217-12229
DOI
Peer Reviewed
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