2012 Fiscal Year Research-status Report
SHIPノックアウトマウスを用いたメカニカルストレス誘導骨代謝に関する研究
Project/Area Number |
24593099
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉松 昌子 長崎大学, 大学病院, 助教 (20420630)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北浦 英樹 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (60295087)
佛坂 斉祉 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (90199513)
藤村 裕治 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70448504)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | SHIP / TNF-α / 破骨細胞 / 矯正 |
Research Abstract |
SHIPは、これまでに免疫系関連因子として多くの報告がある。また、骨代謝への作用として生体の骨量維持のために重要な役割を果たすとの報告もあるもののいまだ不明な点が多い。われわれはこれまでに、TNF-α誘導破骨細胞分化過程においてSHIPが破骨細胞形成を負に制御することをin vitroにおいて確認した。その後、in vivoにおいても同様の結果が得られるかSHIPノックアウトマウスとコントロールマウスの矯正学的歯の移動モデルを使用して検討した。すなわち、マウスの上顎切歯と左側第一臼歯間にNiTi closed coil springを装着して第一臼歯を近心移動し、経時的に歯の移動様相を3DマイクロCTにて撮影して歯の移動距離計測を行った。また、歯の移動後、歯を含む組織を経時的に採取して通法に従って脱灰・パラフィン包埋し、TRAP染色により第一臼歯歯根圧迫側における破骨細胞形成様相を観察、比較した。SHIPノックアウトマウスにおいて歯の移動距離はコントロールと比較して増大すると予想されたが、有意な差が認められなかった。また、SHIPノックアウトマウスにおいて移動した第一臼歯歯根圧迫側の破骨細胞数はコントロールと比較して多い傾向を示したが有意な差は認められなかった。これらのことはTNF-α誘導破骨細胞分化過程においてSHIPが破骨細胞形成を負に制御することを確認したin vitroの研究結果とは異なる結果となった。今後種々の条件検討によりさらなる解析を行う計画としている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はin vivoにおいて矯正学的歯の移動モデルを使用してSHIPノックアウトマウスとコントロールマウスの破骨細胞形成様相の違いを検討することを目標としておりその目的を達成することができた。in vitroの研究とは異なる結果となったため、今後種々の条件検討によりさらなる解析を行う計画としている。
|
Strategy for Future Research Activity |
SHIPの骨代謝への関わりを検討していく中で、in vivoにおいて矯正学的歯の移動モデルを使用してSHIPノックアウトマウスとコントロールマウスの破骨細胞形成様相の違いを検討してきたが、in vitroとは異なる結果となった。今後種々の条件検討によりさらなる解析を行う。また、TNF-αのマウス頭蓋縫合部への投与を行い、破骨細胞形成様相の比較検討を同ノックアウトマウスを利用して行う。さらに、TNF-αが発現して破骨細胞が形成されるまでの細胞内シグナル伝達のどの部分にSHIPが関与するのか、そのシグナル伝達に関わる因子をスクリーニングしSHIPの標的分子を探索する。 SHIPとTNF-αは共に他の多くのサイトカインとクロストークしながら生体のために応答し、その一つの働きとして破骨細胞形成を調節していると考えている。歯槽骨と歯根にメカニカルストレスを与えると、SHIPは骨が過剰に吸収されないように、歯根が吸収されないように守ってくれているのだろうか。また、SHIPの発現をコントロールすることで歯の移動をコントロールできないだろうか。それらの疑問の解決に向けて研究を進めるつもりである。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
①設備備品...RNA採取時等に卓上冷却遠心機が必要である。これまで我々の実験室になかったため毎回借用を余儀なくされており購入を検討している。 ②実験動物及び飼育費...コントロールマウスの随時購入、SHIPノックアウトマウスを繁殖・飼育を行うために必要である。 ③試薬・抗体類...細胞培養、染色、リアルタイムPCRのための試薬やプラーマーなどに加え、培養細胞や組織に投与するTNF-αやM-CSFは高額であるため大きな比重がかかると考えられる。 ④ガラス・プラスチック器具、装置装着、染色等材料費類...培養シャーレ、チップ、ピペット、チューブ、試薬調整のためのビーカー、マウスに麻酔をするためのシリンジ、針、顎骨を採取し切片にする工程での試料を試薬に浸すためのチューブ、包埋ケース、切片作製時のスライドグラス、カバーグラス、マウスに装着する矯正装置、それを装着するためのワイヤーや顎骨に穴を開けるためのバー類、装着する際のピンセットやプライヤー、メス、縫合針、糸、包埋材料などの購入が必要である。 ⑤調査・研究旅費、研究成果投稿費...矯正、骨代謝に関する学会に参加し調査するための参加費、旅費、成果をまとめ英文雑誌に投稿するための費用が必要である。
|
Research Products
(7 results)