2013 Fiscal Year Research-status Report
口腔内pHの日内変動と幼若永久歯の萌出後成熟に関する研究
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24593109
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
渡部 茂 明海大学, 歯学部, 教授 (60113049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 幸嗣 明海大学, 歯学部, 講師 (30570650)
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Keywords | saliva pH / salivary flow rate / minor salivary gland / oral environment |
Research Abstract |
今年度は「睡眠中の口腔内唾液pHのモニタリング」について検討を行った。 【方法】:対象は健康成人男子5名(25~40歳)とした。pHはアンチモン電極を用いた。PHセンサー装着前に口腔内清掃を十分に行い、2点校正(pH4、pH7)したpH電極を上顎中切歯唇側面(AAL)および第一大臼歯頬側面(APB)にそれぞれコンポジットレジンで装着した。およそ0:00~7:00までの睡眠中、5分間隔でpHを自動測定した。 【結果】:被験者の平均安静時唾液分泌速度は2.8~3.0ml/minを示し正常値の範囲であった。就寝して完全睡眠(睡眠)に至るまでの安静時唾液pHは全被験者でAPBがAALより高い値を示した。睡眠直後より唾液pHの変動が少なくなり、AALは速やかにAPBは徐々にpHがそれぞれ1程度下降した。その後両部位のpHは平衡を保ち、APBの方がAALより低い状態が起床時まで続いた。AALのpHの最低値は5.5前後であり、APBは5.0程度であった。 【考察】:今回使用したアンチモン電極は逆流性食道炎の診断に医療用に用いられているもので、長期の測定にも適しているものである。覚醒時では大唾液腺からの分泌の影響で安静時pHは、AALはAPBより常に低いことが示されており、本実験でも同様であったが、睡眠中はAALはAPBより高いことが示された。これは、睡眠中は小唾液腺の働きが顕著となることを示しているものと推察される。すなわち小唾液腺分泌液は量としては少ないが、pHは7程度で、重炭酸塩が含まれていないことから分泌速度にかかわらず一定であり(Dawes、J Dent Res,66:648-53,1987)、睡眠中pHに及ぼす影響が大きいことが示された。AALのpHがAPBより上回った理由としては、上顎前歯部唇面の方が口唇粘膜との接触が安定しており時間も長いことが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在まで、1,埋伏歯のエナメル質ミネラル量の測定、2,唾液からエナメル質へのミネラルの移動、3,睡眠中の口腔内pH変動について の研究がほぼ終わっている。今後、エナメル切片の口腔内での再石灰化、並びに覚醒中の口腔内pHの変化について研究を行う予定であり、ペーパーの作成なども考慮すると若干研究が遅れていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度なので、覚醒中のpH変動を調査し、前年度行った睡眠中のpH変動と合わせて、1日のpH変動についてまとめる予定である。またエナメル質の成熟については、埋伏歯のエナメル質のミネラル量が、通常口腔内に萌出した歯のエナメル質のミネラル量とどのような関係にあるかについて、また耐酸性の比較について検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
牛歯購入時に本数が予定どおりそろわなくて少なく購入したため残額が生じた。次年度直接経費90万円と合わせて使用する予定である。 次年度の使用計画は、物品費50万円、旅費30万円、その他131395円と予定している。
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Research Products
(6 results)