2012 Fiscal Year Research-status Report
海綿骨を考慮した下顎骨のイメージベース・大規模マルチスケール動的解析
Project/Area Number |
24593110
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
中納 治久 昭和大学, 歯学部, 准教授 (80297035)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 放射光CT / 下顎骨 / 骨密度 |
Research Abstract |
【目的】ヒト下顎骨の内部構造と骨密度を正確に計測することを目的として、放射光CT撮影によるヒト大腿骨皮質骨、ヒト下顎骨皮質骨の微細形態と密度値の測定を行った。 【実験内容】高エネルギー加速器研究機構 放射光施設ビームライン(放射光BL-14C)を用いて以下の実験を行った。 1、測定試料は、ヒト大腿骨(皮質骨)、ヒト下顎骨(皮質骨)の角柱(3.0mm×3.0mm×20.0mm)を用いた。測定条件は、35KeV、カメラ視野36×36mm、画素サイズ18μm、露光時間12秒、CT投影数900枚/360度で、それぞれの角柱に無荷重、荷重(0.085mV/V~0.1mV/V)の条件で計測を行った。 2、測定試料は、ヒト大腿骨(皮質骨)を用いた。下顎骨皮質骨(右側頬側顎角部、右側下顎体頬側小臼歯部、オトガイ部)を放射光CT装置の撮影視野に合せて分割(φ2.0mm×20.0mm)、35KeV、カメラ視野36×36mm、画素サイズ18μm、露光時間5sec、CT投影数1000枚/360度の条件で撮影を行った。 【結果および考察】1、計測結果から、測定試料はビームハードニングの影響を最小限にするため円柱を用いる、画像のコントラストを鮮明にするため背景を撮像した上で計測を行う、試料が変形しているのか、位置が変化したのか分からないため、試料台の固定方式を改造する、などの変更を加える必要があると示唆された。 2,各々の骨サンプルを計測し、三次元再構築を行った。その結果、右側顎角部頬側皮質骨は管腔構造が少なく、緻密な構造を呈していた。また、オトガイ部皮質骨は管腔構造が多く比較的粗造な構造を呈した。さらに、スライス断面からCT値を求めたところ、頬側顎角部(0.99~1.03)>下顎体頬側小臼歯部(0.98~1.01)>オトガイ部(0.94~1.01)の順に高い値を示していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1、(1) 放射光CTおよびμCTを用いて皮質骨および海綿骨の微細形態の解析と真のCT値を求める、に関して。下顎骨各部位の皮質骨サンプルを計測し、三次元再構築を行った。その結果、右側顎角部頬側皮質骨は管腔構造が少なく、緻密な構造を呈していた。また、オトガイ部皮質骨は管腔構造が多く比較的粗造な構造を呈した。さらに、スライス断面からCT値を求めたところ、頬側顎角部(0.99~1.03)>下顎体頬側小臼歯部(0.98~1.01)>オトガイ部(0.94~1.01)の順に高い値を示していた。おおむね順調に研究は進展している。今後は、サンプル数を増やし皮質骨の微細形態と真のCT値を求めたい。 1、(2) 歯科用コーンビームCT(以下、CBCT)におけるCT 値を補正し骨密度値と一致させる、に関して。CBCT におけるCT値の定量性を向上するために散乱X線を補正する手法を開発し、その有効性を報告した[Med Imag Tech 27(3):1 77-184,2009.]。そこで、その理論式の精度を検証するためヒト下顎骨皮質骨を用いて、1)放射光CTから得られたCT値、2)μCT装置で撮影しBMDファントムを用いて骨密度値を算出したCT値、3)歯科用コーンビームCT で撮影後、補正したCT値との比較検討を行う予定である。現在、1)放射光CTによる計測を行っている。やや計測の進行は遅れている。 2、μCTを用いて詳細な下顎骨の海綿骨骨梁構造を抽出し静的FEMモデルを作製する。さらに、CBCTのCT値からヤング率を推定した等方性材料モデルと比較し結果が一致するか検証する、に関して。海綿骨を考慮した下顎骨イメージベース・大規模動的解析により、動的応答下で応力波がインプラントから海綿骨・皮質骨に伝播する様子が明瞭に観察できた。当初の計画以上に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1、(1) 放射光CTおよびμCTを用いて皮質骨および海綿骨の微細形態の解析と真のCT値を求める、に関して。現在、下顎骨各部位の皮質骨サンプルを計測し、三次元再構築を行っている。その結果、CT値は、頬側顎角部(0.99~1.03)>下顎体頬側小臼歯部(0.98~1.01)>オトガイ部(0.94~1.01)の順に高い値を示していた。この実験手法は、既に確立しているので、サンプル数を増やし皮質骨の微細形態と真のCT値を求めたい。 1、(2) 歯科用コーンビームCT(以下、CBCT)におけるCT 値を補正し骨密度値と一致させる、に関して。1)放射光CTから得られたCT値、2)μCT装置で撮影しBMDファントムを用いて骨密度値を算出したCT値、3)CBCTで撮影後、補正したCT値との比較検討を行う予定である。現在、1)放射光CTによる計測を行っているが、やや計測の進行は遅れている。今後、新しいサンプル(ヒト下顎骨)を抽出し、1)放射光CT計測、2)μCT計測、3)CBCT計測を行う予定である。 2、μCTを用いて詳細な下顎骨の海綿骨骨梁構造を抽出し静的FEMモデルを作製する。CBCTのCT値からヤング率を推定した等方性材料モデルと比較し結果が一致するか検証する、さらに、イメージベース・大規模マルチスケール静的有限要素解析から動的解析への発展させる、に関して。既に、海綿骨を考慮した下顎骨イメージベース・大規模動的解析により、海綿骨・皮質骨における力の伝搬が明瞭に観察できている。今後は、その手法を応用し、ヒト下顎骨皮質骨各部位の1)放射光CT計測、2)μCT計測、3)CBCT計測から得られたデータをもとに、下顎骨イメージベース・大規模動的解析を行い、それぞれの解析結果を比較検討する。さらに、放射光CT撮影を行いながら加圧計測を行い、動的解析結果と実際の計測の比較検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1、CT測定用加圧装置(SRM-001)の修理費用(897,750円)。放射光CT撮影しながら、皮質骨サンプルを加圧する際、試料の固定が安定せず正確な計測が行えなかった。その原因は、サンプル固定台の固定方法と、上下回転テーブルが同期していないことが原因であった。以上より、CT測定用加圧装置(SRM-001)の試料固定台と上下回転テーブルを同期可能に修理する。 2、ビューラー社ダイヤモンド切断砥石(75,000円/枚×2=150,000円)。下顎骨から皮質骨を切断するための砥石である。 3、実験試薬(100,000円) 4、破壊試験機消耗品(45,000円) 5、成果発表(100,000円)。日本骨形態計測学会、日本矯正歯科学会
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Research Products
(5 results)