2013 Fiscal Year Research-status Report
低出力超音波パルスによる歯の骨性癒着抑制効果について
Project/Area Number |
24593111
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
本吉 満 日本大学, 歯学部, 准教授 (40246913)
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Keywords | LIPUS / 骨性癒着 / 再植歯 |
Research Abstract |
再植術や外傷歯を移動する際、骨性癒着によって矯正治療を見直さざるをえない場合がある。そうした外傷歯や再植歯等の侵襲を受けた歯根膜の治癒促進にLIPUSが作用し、骨性癒着を抑制、予防できるのではないかと考え、LIPUSによる歯周組織回復促進、骨性癒着抑制効果の検証を行うことを目的に、ラットを用いてin vivoにて検証を行う。 この目的の遂行のためには再植歯の骨性癒着をモデルを用いた実験系を確立する必要がある。本研究では当初、kvinnslandらの再植法に準じて骨性癒着モデルの作成を試みた。その結果再植後のMicroCT像所見により、14週以降に根尖周囲の歯槽骨の吸収が生じ、経時的に増大していく像が観察された。そこで、kvinnslandらの再植法に改変を加える必要性が生じた。すなわち、歯根膜削合による歯根尖への感染を防止する目的で、歯根膜削除を行う過程を省き、無菌下での抜歯即時再植を行い、さらに再植歯への過剰な負担を除去することにした。具体的には再植歯の対合歯となる下顎臼歯の抜歯ないし歯冠の削合を行い、Chenらが行った前歯部にバイトプレートを用いて臼歯の咬合干渉を軽減を試みた。 結果、バイトプレートの脱落の生じなかった個体において、Periotest値において動揺度の低下がみられ、MicroCT像では歯槽骨の吸収の抑制がみられ、アンキローシスとみられる組織切片が得られた。 一方、バイトプレートが脱落した個体において経時的に観察した結果、コントロール群と同様のperiotest値を示し、MicroCT像や組織切片において炎症の増大はみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
癒着モデルの作成は確立したが、バイトプレート装着後の脱落や、個体ごとの摂食障害による死亡、MicroCTなど実験機材の故障も重なり、個体数確保に手間取った。
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Strategy for Future Research Activity |
前述したバイトプレートの脱落がなくなるよう、Chenらのバイトプレートに改変する。摂食障害による死亡とみられる個体には、食餌および給水のしやすいバイトプレートに改変する。 上記バイトプレートを用い、骨性癒着モデルのLIPUS照射群(実験群)および非照射群(対照群)にわけて再植歯の動揺度の変化、歯根膜腔の変化を観察し、骨性癒着時期の発生時期と程度、範囲について比較検討することにより、LIPUSによる骨性癒着抑制効果について時系列で評価する。評価方法は歯周組織、とくに歯根膜組織の蛍光顕微鏡像を観察することにより行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究が当初の計画よりやや遅れたため、実験動物としてラットの購入および本実験に関わる実験材料を全て購入しなかった。次年度に当該研究費を実験動物等の消耗品の購入に充てる予定である。 I)ラット30頭を実験群、残りの30頭を対照群とし、実験群のラットの上顎に低出力超音波パルス発生装置(オステオトロンIV)を用い、LIPUSを照射する。対照群にはLIPUS照射は行わない。II)全身麻酔下にて上顎大臼歯再植術を行う。実験群は再植術直後から毎日LIPUS照射を4週にわたり行う。III)歯の生着状態をMicroCTにて1週間に2回ずつ、4週にわたって評価する。実験群と対照群の大臼歯周囲のCT像により、歯根膜腔の消失の有無を観察し、屠殺後、動揺度測定器(PERIOTEST)を用いて、再植歯の生着状態を確認する。 上記の実験に際して、ラット60頭の他、関連する実験材料、薬品を購入する予定である。また、データ解析に使用しているパーソナルコンピュータが起動しなくなるという不具合が生じたため、データの保護と今後の解析を行うために新たにパーソナルコンピューターを購入する予定である。
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