2012 Fiscal Year Research-status Report
口蓋発生時の癒合部上皮消失過程における基底膜の動態
Project/Area Number |
24593116
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
岡 暁子 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (60452778)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 口蓋発生 / Fibrillin / TGF-beta シグナル |
Research Abstract |
口蓋発生時、左右口蓋棚の癒合過程で口蓋上皮の消失が起こる。この上皮消失過程における重要な働きを持つ遺伝子を網羅的に探索するため、マイクロアレイ解析を行い、その結果をもとにいくつか興味深い遺伝子をピックアップした。Fibrillin は、弾性系線維を構成する微細線維の主成分であり、Fibrillin 1 の遺伝子変異は高口蓋を特徴とするマルファン症候群の責任遺伝子である。平成24年度は、このFibrillin 2 蛋白の口蓋発生時における発現局在を免疫組織化学染色法を用いて調べた。Fibrillin1に加え、類似構造を持つ、先天性拘縮性くも指症の原因遺伝子であるFibrillin 2 の発現についても合わせて検討した。 Fibrillin 1 は、胎生13.5日齢から胎生15.5日齢の口蓋間葉に発現し、基底膜にも存在していた。興味深いことに、Fibrillin 2 は、口蓋上皮に発現し間葉組織には発現を認めなかった。また、細胞増殖のマーカーとなるKi67の発現との比較から、Fibrillin 蛋白は、口蓋発生の初期においては、弾性線維形成ではなく細胞増殖を調節する働きが示唆された。口蓋発生に重要であるTGF-betaシグナルとの関与を明らかにするために、TGFb2、TGFb3の発現と比較したところ、Fibrillin 1 は、TGFb2 と、Fibrillin 2 は、TGFb3 と発現部位を同じくしていることが明らかとなった。 Fibrillin 蛋白は、LTBP(Latent-transforming growth factor beta-binding protein 1)を介してTGF-betaと結合しており、この機能からFibrillinによるTGF-betaシグナルを介した細胞増殖調節機能をもつ可能性があり、今後はLTBPについても解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
口蓋癒合過程で口蓋上皮の消失は、胎生14.0日齢から胎生14.5日齢で行われるため、交配確認後に求める胎生日齢になる予測が難しいため、最適なステージでのサンプルを得るのにやや時間を要した。 免疫組織化学染色の条件設定に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、口蓋発生におけるFibrillin1, 2蛋白の発現が、口蓋上皮、口蓋間葉のどちらにおいても、TGFb2, 3と発現を同じくすることが明らかとなった。この二つの蛋白を媒介している、LTBP蛋白については、これまで口蓋発生領域では検討されたことがないため、LTBP1, 3, 4についても免疫組織化学染色法を用いて、明らかにしていく。 Fibrillin, TGFb,LTBPの3つに共発現がみられた場合は、これら蛋白の結合を確認するため、免疫沈降法を用いて解析を行う。 免疫組織化学染色法で蛋白の存在を明らかにするとともに、Real time PCRを用いた定量的な解析も同時に行う予定である。 口蓋発生時、TGFbは、口蓋間葉の細胞増殖、口蓋上皮のアポトーシスを調節していることが明らかとなっており、このTGFb の活性、抑制の調節について、Fibirillin蛋白がどのように関与しているか、器官培養、細胞培養等を用いて機能的な実験を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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