2014 Fiscal Year Annual Research Report
口蓋発生時の癒合部上皮消失過程における基底膜の動態
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24593116
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
岡 暁子 福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (60452778)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | TGFbetaシグナル / 細胞内シグナル / MEE / 基底膜 / 細胞外基質 / 細胞接着 / 口蓋発生 / 免疫組織化学染色 |
Outline of Annual Research Achievements |
口蓋発生時の口蓋突起癒合部上皮(MEE)消失に着目し口蓋の前後軸での解析を行った。MEE消失に必須因子であるTGFb3mRNAの発現量は口蓋後方部がやや低いものの、免疫染色組織学的にMEE部分の発現を比較すると、その前後軸での発現パターンに違いは認められなかった。そこでMEEにおけるTgfb3発現量ではなく、シグナル活性に着目し、Fibrillin-1 発現とTGFb細胞内シグナル活性を組織学的に観察した。Fibrillin-1 発現部位におけるTGFbシグナル活性は、抑制的に調節され、口蓋間葉での細胞増殖に関与していることが示唆された。口蓋上皮MEEにおいては、Smad2およびSmad3は、前方部、後方部より中央部に強い発現を示した。一方で、Phospho-p38は、口蓋後方部で高い発現を示していた。このことから、口蓋癒合上皮の消失プロセスは、口蓋の前後軸で、Smadによる古典的経路と、p38による非古典的経路の異なる機序で調節されていることが示唆された。それぞれの経路の違いによって、MEE部上皮消失、基底膜断裂に変化があるかを検証するため、器官培養を用いたTGFb 刺激によるE-cadherin発現減少,基底膜 TypeI collagenの変化を観察したが、これらの発現には前後軸では大きな違いを認めることができなかった。しかしながら、Tenascin Cは、TGFb刺激によって口蓋間葉での発現が促進され、さらにその傾向は口蓋後方部で顕著であった。また口蓋上皮におけるTGF-bシグナルが抑制されるとその傾向は消失し、口蓋後方部Tenascin C発現領域の基底膜の断裂が阻害されていた。つまり、口蓋後方部MEEにおいては、Tgfbは非古典的経路によって口蓋間葉のTenescin Cの発現を促進し、基底膜断裂を通して、MEEの消失に寄与する可能性が示唆された。
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