2013 Fiscal Year Research-status Report
幹細胞由来パラクライン因子を応用した新規歯周組織再生治療の開発
Project/Area Number |
24593117
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
岩崎 剣吾 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (40401351)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小牧 基浩 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30401368)
森田 育男 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60100129)
|
Keywords | 幹細胞 / 歯周病 / 再生 |
Research Abstract |
歯周炎の特徴は細菌感染に由来する歯周組織の慢性炎症であり、これにより歯を支える歯周組織が破壊され歯の喪失に至る。現代日本人の抜歯の最も大きな原因となっているのが歯周炎であり、その進行は審美性および咀嚼機能の低下を通して生活の質の低下へ大きく影響する。破壊された歯周組織を再生することができれば高齢化社会である我が国の国民の生活を豊かにすることに大きく貢献することができると考えられる。我々は組織幹細胞の一つである間葉系幹細胞の研究を続ける中で、間葉系幹細胞から分泌される因子の中に創傷治癒を促進する因子が含まれている可能性を見出した。これらの研究背景を基に、歯周組織の再生に重要なカギを握っていると考えられる歯根膜由来間葉系幹細胞(PDLSC)から得られる液性因子を用いる事で歯周組織の再生が起こるか否かを動物実験において検討することが本研究の目的である。健常者の矯正的抜去歯あるいは智歯からPDLSCを培養しその培養上清を回収した。培養上清は限外濾過を用いて濃縮した。動物実験モデルとしてラットの下顎臼歯部に裂開状の歯周組織欠損を作製し、得られた培養上清を局所投与した。担体としてコラーゲンスポンジを用いた。移植4週間後にマイクロCTを用いて硬組織形成量を評価した。コントロールとして培養液をインキュベーション・濃縮し同様に移植した。PDLSCから得られた培養上清は移植4週後のマイクロCT像において、コントロールと比較して歯周組織の再生量を増強した。動物実験を現在も進行中であり、実験データの再現性の確認と培養上清回収条件による治療効果の差についても検討中である。また、PDLSCから得られた培養上清中に含まれる因子についても検討を加え、いくつかのサイトカイン、血管新生因子がPDLSC培養上清中に多く含まれる事が明らかになってきている。この点についても現在、詳細を解析中である。得られた結果の一部は学会にて発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、研究はおおむね順調に進展していると考えている。幹細胞としてヒト歯根膜幹細胞を用いており、幹細胞が継代により幹細胞性を失う事から、抜去歯からの初代培養細胞を継続的に培養する必要がある点や、動物実験を中心にデータを集めているため移植後4週間の治癒の期間がかかること、一匹の移植手術にかかる時間が長いこと(約3時間)、ある程度以上の実験数(n)が必要である事を考え併せると、実験には相当の時間が掛かるものと予想し計画していたが、実験の進展度は計画通りと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24、25年度に行った実験の結果より、歯根膜幹細胞培養上清の歯周組織欠損への投与が歯周組織再生に有用であることを示唆するデータが得られた。この研究結果を受けて、有効な歯周組織再生治療確立のための基礎的研究を平成25年度に行う予定である。より再生能力の高い培養上清採取方法の検討を行う。そのために培養上清に含まれる再生に寄与する因子の特定を進める。具体的には歯根膜幹細胞培養上清に含まれる網羅的なタンパクの解析、種々の増殖因子・サイトカイン濃度の測定を行う。また、細胞の培養条件を変化させ、より歯周組織再生に適した歯根膜幹細胞培養上清の採取方法を検討する。さらには移植担体の最適化をめざし現在使用しているコラーゲンスポンジに代わる生体吸収性の担体の検索を行いたいと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究3年目の費用が1,2年目よりも低く設定されているが、3年目も前年同様の動物実験を予定しており、同程度の経費の使用が見込まれる。そのため、2年目に予定していた実験にかかる費用を一部削減し、動物実験費用として次年度への繰り越しとした。 幹細胞由来培養上製を用いた動物実験を行う予定である。
|
-
[Journal Article] Periodontal Regeneration Using Periodontal Ligament Stem Cell-Transferred Amnion.2014
Author(s)
Iwasaki K, Komaki M, Yokoyama N, Tanaka Y, Taki A, Honda I, Kimura Y, Takeda M, Akazawa K, Oda S, Izumi Y, Morita I.
-
Journal Title
Tissue Eng Part A.
Volume: 20
Pages: 693-704
DOI
Peer Reviewed
-
-
-