2014 Fiscal Year Research-status Report
歯周炎罹患歯肉局所におけるアルツハイマー病関連遺伝子の発現亢進を探る
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24593119
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
久保田 健彦 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (50303136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中曽根 直弘 新潟大学, 医歯学総合病院, その他 (20447634) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 医療・福祉 / 歯学 / 免疫学 / 病理学 / 遺伝子発現 / タンパク質局在 / 歯周病 / アルツハイマー病 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまで、歯周炎罹患歯肉局所で、特異的に転写増強される遺伝子群及び抑制される遺伝子群を画期的なDNA Microarray (GeneChip Human genome array U133)を用いて、5万余の遺伝子の中から網羅的検索を行った。その結果、歯周炎罹患歯肉組織中において、白血球血管内移動経路と同時にアルツハイマー病関連遺伝子群の発現上昇を歯周組織で発見し報告した(J Periodontal Res 2011) 。 中でも、Amiloid beta (A4) precursor protein(APP), 炎症性サイトカイン interleukin (IL)-1 beta, 補体成分complement component 1 (q subcomponent, A chain) (C1QA)など歯周炎とADに共通する炎症関連遺伝子群・生物学的経路の亢進も突き止めた (Kubota et al, J Dent Res, Spple.3404, 2010) これまで、APPはAD組織以外での報告は少なく、創傷の治癒や腫瘍組織での報告があるのみであり、本研究において、我々は歯周炎罹患歯肉局所での発現細胞の局在同定と更にはその発現量が有意に上昇していることを初めて報告した(Kubota et al, Archs Oral Biol 2014)。APP, IL-1beta, C1QA は、相互に協調して機能しておりこれら遺伝子の発現解析は、慢性炎症による歯周炎組織破壊と原因不明な加齢関連炎症性疾患であるADとのつながりを考える上できわめて貴重な結果をもたらすことが期待され、更なる研究を行う意義がある。現在、APPの関わるネットワーク遺伝子について更に範囲を広げて追加研究しており、これまでの解析結果を学会発表準備中である。その後、結果を国際専門雑誌に投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
APP, IL-1beta, C1QA 遺伝子発現レベル及びそのネットワークの解析:ヒト重度慢性歯周炎患者歯肉(n=14)におけるAPP, C1QA, IL-1betaの遺伝子発現レベルを、臨床的健常部位歯肉(n=14)における遺伝子発現レベルとquantitative reverse-transcription real-time polymerase-chain reactions (qRT-rtPCR)法を用いて比較解析をした。サンプルは、今後の追加解析に備えて 適宜追加している。RNA安定化溶液浸漬後、総RNA抽出して-80℃ 保存している。 APP, IL-1beta, C1QA タンパク発現責任細胞の同定および炎症歯肉組織中局在の検索:ヒト重度慢性歯周炎歯肉中のAPPのタンパク質の局在について特異抗体を用いた免疫組織科学的手法を用いて解析した。サンプルは、今後の追加解析に備えて 適宜追加している。通法によりパラフィン包埋後、5ミクロン薄切切片を作成して HE及び免疫組織学的染色用に 保存している。 これまで順調に解析を進め、APP発現細胞同定の時点で 中間結果をまとめ、国内外の学会で報告すると共に 第一報(Archs Oral Biol 2014)をパブリッシュした。
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Strategy for Future Research Activity |
更なる解析のために、試料のサンプリングを継続し適宜RNA、パラフィンブロックとして保存する。第1報で得られた、「歯周炎罹患歯肉組織中におけるAPP, IL1beta, C1QA遺伝子発現の上昇とマクロファージによるAPP産生」が、実際のアルツハイマー病の病理と結びつくのか?あるいは、慢性炎症共通の発現動態なのか?アミロイドの関与は?などについて明らかにしていきたい。具体的には、既に実験を開始しているが、第1報で用いた試料中にAPP調節遺伝子群:Neprilysin, アスパラギン酸プロテアーゼ、BACE1, ADAM-10, 17, ADAMTS-1 と その最終産物でありアルツハイマー病の主因子であると考えられているAmyloid betaがどの程度歯周炎局所で発現しているのか?明らかにする。本継続研究は、本研究課題である「アルツハイマー病関連遺伝子の発現亢進を探る」の重要な検証となる。最終年度として、本研究成果をまとめ 6月の歯周病国際学会にて報告して 国際専門誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度は、研究が順調に推移し、第1報のデータが得られた時点でまとめと論文執筆を中心に費用を割いたため、予定していた実験経費はより少なくてすんだこと。更に予定していた学会発表を、データの集積を待って 次年度に繰り越したため旅費が削減された。 次年度は、国際学会の発表があるため 物品費及び旅費がかかるため 経費を節約し繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
第二報の研究物品費と学会発表のための旅費を中心に、一部論文執筆のための費用に使用予定である。
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