2013 Fiscal Year Research-status Report
イルソグラジンマレイン酸による歯肉上皮細胞機能の分子制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
24593123
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤田 剛 広島大学, 大学病院, 講師 (80379883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 真司 広島大学, 大学病院, 病院助教 (30611321)
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Keywords | 歯肉上皮細胞 / smad2リン酸化 / 歯周病原細菌 / TGF-betaレセプター |
Research Abstract |
歯肉上皮細胞は歯周組織の最前線に位置することから,歯周病原細菌に対する歯肉上皮細胞の応答を解明することは,歯周病の予防につながる。特に本研究では上皮細胞のsmad2シグナルに注目して,リン酸化のメカニズムとその制御を目的とした。 培養歯肉上皮細胞に対して,Aggregatibacter actinomycetemcomitansやPorphylomonas gingivalis, Fusobacterium nucleatumなどの歯周病原細菌で刺激したところ,A. actinomycetemcomitans, F. nucleatumは,歯肉上皮細胞のsmad2のリン酸化を促進した。これまでに細菌とsmad2リン酸化の関わりに関する報告はなく,smad2の制御による歯周組織の炎症の制御が可能となることが示唆される。また,この細菌刺激に対するsmad2のリン酸化メカニズムを解明するために,smad2リン酸化経路としてよく知られているTGF-betaレセプターリン酸化を検討した。実際に,A. actinomycetemcomitans刺激によってTGF-betaレセプターのリン酸化が免疫沈降によって確認され,さらにsiRNA導入,インヒビターを用いた抑制実験によってAggregatibacter actinomycetemcomitans 刺激によるsmad2リン酸化はTGF-betaレセプターリン酸化を介していることが示唆された。このメカニズムについては,細菌が直接レセプターに結合しリン酸化を活性化させる系と間接的にレセプターをリン酸化する系が考えられる。現在,TGF-betaがTGF-betaレセプターがリン酸化する経路,すなわちTGF-betaのオートクラインまたはトランスアクチベーションについて検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究結果から,歯周病原細菌刺激によるsmad2リン酸化が歯肉上皮細胞のアポトーシスを引き起こす可能性が示唆される。アポトーシスによって,歯肉上皮の機能は著しく損なわれる。したがって,イルソグラジンマレイン酸の上皮細胞制御のターゲット因子として,smad2が候補として考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
歯周病原細菌刺激による歯肉上皮細胞のsmad2のリン酸化が促進する詳細なメカニズムを検討する。特にインテグリンのアウトサイドインシグナルについて着目し,TGF-betaレセプターリン酸化への関与を解明する。さらに,最終的にイルソグラジンマレイン酸がその経路について抑制的に働くか否かを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残額が少額であったため,次年度に繰り越して使用する予定である。 次年度交付額と合わせて使用する。
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Research Products
(3 results)