2013 Fiscal Year Research-status Report
日本版オーラルヘルスリテラシー評価法の開発に関する研究
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24593142
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
植野 正之 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70401388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 陽子 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20126220)
古川 清香 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50527322)
竹原 祥子 東京医科歯科大学, 国際交流センター, 助教 (60622438)
大貫 茉莉 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, その他 (40611520)
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Keywords | ヘルスリテラシー / 歯科保健状況 |
Research Abstract |
簡易版のヘルスリテラシー質問票を用い、秋田県の一般住民に対し予備調査を行った。対象者は20歳以上の成人518名である。14の歯科用語の認識度と2項目の歯科の知識によりヘルスリテラシーを評価し、その正答数によりヘルスリテラシーの低い群(0~5項目)、中等度の群(6~10項目)、高い群(11~16項目)の3群に分けた。さらに、歯や義歯の清掃習慣、鏡による口腔のセルフチェック、定期的歯科健診、喫煙状況、口腔保健状況を調査した。その結果、ヘルスリテラシーの高い人ほど望ましい歯科保健行動をとっており口腔保健状況が良好であることが明らかになり、質問票がヘルスリテラシーを正しく評価ができていると考えられた。この質問票を基に、最終版オーラルヘルスリテラシー質問票の作成を行った。 また、学校歯科保健の現場で学生のヘルスリテラシーを評価する指標として口腔描画法を開発し、健康教育前後のヘルスリテラシーの変化を評価することで、口腔描画法の妥当性について検討を行った。対象者は東京都内にある某高等学校の1年生201名である。自分の口腔内を手鏡で観察させ、前歯部の歯と歯肉の絵を健康教育前後で自由に描くよう指示した。歯と歯肉の描画は口腔内写真をもとにスコア化した。その結果、男女ともに歯のスコアは、歯肉のスコアより有意に高かった。健康教育前と健康教育後の歯と歯肉のスコアの変化では、歯のスコアは男子、女子ともに健康教育後が健康教育前より有意に高かった。歯肉のスコアにおいても男子、女子ともに健康教育後が健康教育前より有意に高かった。健康教育前後の2枚の描画を比較して自己評価させたところ、よく観察できたのは「健康教育後」であると回答した者は72.8%、「健康教育前・前後同じ」であると回答した者は27.2%であった。これらの結果より、ヘルスリテラシーの変化を、口腔描画法で客観的に評価することが可能と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成人を対象としたヘルスリテラシー質問票開発のために実施した予備調査により、最終的なヘルスリテラシー質問票の作成が行えた。この質問票を用いた調査を継続中である。 また、学校歯科保健の現場で用いるヘルスリテラシー指標として、口腔描画法を開発し、その有用性・妥当性をを評価したところ、口腔描画法は学生のヘルスリテラシーを評価する簡単で短時間に客観的にヘルスリテラシーを評価できる方法であることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度まで行った調査結果をもとに最終的に成人対象のヘルスリテラシー質問票で用いる歯科用語として、プラーク(歯垢)、舌苔、デンタルフロス、歯間ブラシ、ミュータンス菌、歯肉炎、スケーリング(除石)、キシリトール、フッ素洗口、フッ素塗布、フッ素入り歯磨剤、シーラント、義歯洗浄剤、歯科訪問診療、誤嚥性肺炎、8020運動、ドライマウス、洗口液、舌体操、歯科衛生士の20用語を選択し、さらに歯科に関する知識を問う質問項目として、「むし歯は口の中の細菌が原因で起こると思う」、「むし歯は予防できる病気だと思う」、「歯周病は口の中の細菌が原因で起こると思う」、「歯周病は喫煙と関係していると思う」、「歯周病は糖尿病と関係していると思う」、「歯周病は予防できる病気だと思う」、「口の中にガンはできると思う」、「年に1回以上の歯科健康診査は必要だと思う」の8項目を使用することとした。この質問票は昨年同様、秋田県の一般住民に対し配布し、研究を推進していく予定である。 また、学校歯科保健の現場で用いるヘルスリテラシー指標として、口腔描画法を用いることとし、今後口腔描画法と口腔保健状況との関連を研究していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究調査対象者数が予定より少なかったため。 来年度は対象者数の増加が見込まれ、参加歯科医師への謝金として使用予定である。
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Research Products
(2 results)