2012 Fiscal Year Research-status Report
ホスホプロテオームを用いた新たな歯周病バイオマーカーの探索
Project/Area Number |
24593147
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 和彦 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00346165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保庭 雅恵 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (00303983)
永田 英樹 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (50260641)
関根 伸一 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (70506344)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 歯周病 / バイオフィルム / P. gingivalis / S. oralis / バイオマーカー / プロテオーム |
Research Abstract |
有力な歯周病細菌の1つであるPorphyromonas gingivalisが口腔内に定着するためには、初期デンタルバイオフィルム形成菌への結合が重要である。多菌種間でバイオフィルムを形成する際に、菌体内タンパク質のリン酸化活性が高まる。このことを利用して、本研究では、ショットガンホスホプロテオミクスの解析手法を用いて口腔内の複数のリン酸化されたタンパク質やペプチドのパターンを検出し解析することで、新たなバイオマーカーの探索をし、リソースとして構築することを目的とする。 1)バイオマーカーの基準点の探索 口腔常在細菌である口腔レンサ球菌および歯周病細菌であるP. gingivalis等を一晩培養し、それぞれの全菌体と混合バイオフィルムのタンパク質を二次元電気泳動にかけた。ゲルをPro-Qダイヤモンド蛍光染色し、リン酸化したタンパク質を画像解析したところ、おおまかに4カ所のスポットの違いを確認した。さらに、明らかに異なる位置や量に差のある発現したスポットをトリプシンでゲル内消化後、質量分析にてタンパク質の同定と配列決定を行ったところ、精製濃度が薄く、アミノ酸配列決定が困難であった。一方で、口腔連鎖球菌のGAPDHに対する免疫沈降法と2次元電気泳動にてP. gingivalisの5つの膜タンパク質が相互作用することが新たにわかった。 2)5つのバイオマーカーの性質 口腔レンサ球菌のGAPDHはP. gingivalisの5つの膜タンパク質(RagA4、AbfD、GDH、GAPDH、MDH)に高親和性で相互作用することが新たにわかった。さらに、RagA4、AbfDおよびGDHは混合バイオフィルムを促進し、GAPDHおよびMDHは阻害することがわかった。今後、さらなる大規模分析が可能であるショッガン解析にてリン酸化タンパク質を濃縮後、配列決定を調査しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有力な歯周病細菌の1つであるPorphyromonas gingivalisが口腔内に定着するためには、初期デンタルバイオフィルム形成菌への結合が重要である。多菌種間でバイオフィルムを形成する際に、菌体内タンパク質のリン酸化活性が高まる。口腔常在細菌である口腔レンサ球菌および歯周病細菌であるP. gingivalis等を一晩培養し、それぞれの全菌体と混合バイオフィルムのタンパク質を二次元電気泳動にかけた。ゲルをPro-Qダイヤモンド蛍光染色し、リン酸化したタンパク質を画像解析したところ、おおまかに4カ所のスポットの違いを確認した。さらに、明らかに異なる位置や量に差のある発現したスポットをトリプシンでゲル内消化後、質量分析にてタンパク質の同定と配列決定を行ったところ、精製濃度が薄く、アミノ酸配列決定が困難であった。一方で、口腔レンサ球菌のGAPDHに対して免疫沈降法と2次元電気泳動にてP. gingivalisの5つの膜タンパク質が相互作用することが新たにわかった。口腔連鎖球菌のGAPDHにP. gingivalisの5つの膜タンパク質(RagA4、AbfD、GDH、GAPDH、MDH)が高親和性で相互作用することが新たにわかった。さらに、RagA4、AbfDおよびGDHは混合バイオフィルムを促進し、GAPDHおよびMDHは阻害することがわかったから。
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Strategy for Future Research Activity |
P. gingivalis、A. actinomycetemcomitans、F. nucleatumおよび口腔レンサ球菌等をそれぞれ培養し、細胞溶解液に溶解しタンパク質を抽出する。抽出したタンパク質をトリプシンで消化し、酸化チタンのカラムでリン酸化ペプチドを濃縮精製し、超低流量の流速でのナノ液体クロマトグラフィーによる保持時間とLC-MS/MS質量分析によるスペクトラムデータ解析によって、質量電荷比(m/z)と保持時間を2軸とし、ピーク強度を濃淡で表した2次元画像解析をする。統計学的手法を用いて有用なピークの選択が可能となることから、バイオマーカー候補を選出する。 P. gingivalis、A. actinomycetemcomitans、F. nucleatumおよび口腔レンサ球菌等をそれぞれ一晩培養し、それぞれの菌体を混合培養し、2-4種類混ぜた菌体タンパク質を細胞溶解液に溶解しタンパク質を抽出する。抽出したタンパク質のショットガンホスホプロテオミクスデータをポジティブコントロールと比較検討することで、明らかに差のあるピークを選出し、統計学的手法を用いて有用なバイオマーカー候補を選出する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
サンプル処理とショットガン解析の試薬に使用予定である。
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