2012 Fiscal Year Research-status Report
前駆蛋白質転換酵素ADAMsを標的とした歯周病予防・治療戦略の検討
Project/Area Number |
24593163
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
粟野 秀慈 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (20301442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
邵 仁浩 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (10285463)
吉田 明弘 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (20364151)
安細 敏弘 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (80244789)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ADAM17 / 歯周組織 / 口腔ケラチノサイト |
Research Abstract |
本申請研究では、炎症性疾患において重要な役割を担っているTNF-(腫瘍壊死因子)などの産生に関与している前駆蛋白分解酵素であるADAMs(a disintegrin and metalloproteinases)の口腔内における動態を明らかにし、それら酵素をターゲットにした歯周病予防・治療のための創薬の可能性を検討することを目的としている。 平成24年度の本申請研究において、第1段階として、歯周組織におけるADAMsの局在性を調べるため、ADAMs familyのうちADAM17の歯周組織における局在性が、免疫組織染色法を用いて調べられた。またヒト口腔ケラチノサイト(HOMK100,107)、また口腔扁平上皮癌細胞株(SCC25)におけるADAM17のmRNAならびに蛋白質発現についてもRT-PCR法、Immunoblotting法そして細胞免疫染色法によって検証を行った。 その結果、歯周組織においてADAM17は、歯肉上皮組織において、より強く発現していることが明らかとなり、またヒト口腔ケラチノサイトのHOMK100、HOMK107そして口腔扁平上皮癌細胞のSCC25においても、mRNAの発現がRT-PCRの結果より確認され、蛋白質レベルの発現もimmunoblottinngならびに細胞免疫染色法の結果より確認された。また、ADMA17は細胞内において、主に細胞膜上でより強く発現していることも細胞免疫組織染色の結果より明らかとなった。 したがって、歯周組織においてADAM17は歯肉上皮細胞上に発現し、歯周疾患ならび口腔癌といった口腔疾患に関連している可能性が示唆されたが、今後、具体的にADAM17が歯周組織においてどのような役割を担っているかは、次年度引き続き検証していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯周組織中におけるADAMsの発現に関しては、計画通り検証することができているが、患者の歯肉溝液中のADAMsならびに関連するサイトカインの発現レベルの検証に関しては、現在予備研究段階で、まだきちんとした成果を得ていない。また逆に平成25年度に実施予定であった細胞を用いた研究は今年度前倒しして一部実施しているため、平成25年度に、昨年度の一部計画を含め実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、昨年度予定していた患者の歯肉溝液中のADAMsの動態と歯周健康状態の違いなどとの関連を調べる研究と併行し、歯肉上皮細胞を用いてADMA17nadonoADAMsをターゲットにして、ADAMsによってシェディングされるTNF-αなどの様々な炎症性シグナル物質の発現レベルの変化を調べ、歯周疾患に関連するADAMs炎症性ネットワークの仮説モデルを構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画は以下の通りである。1)は今年度の計画を引き続き継続して行っていく予定である。 1)患者から採取された歯肉溝液中のADAM-9,-10,-17とTNF-α、IL-1β、IL-6のレベルを、それぞれELISA法にて測定し、臨床的所見ならびに歯周組織内のそれぞれの発現レベルとの関係を検証する。 2)細菌由来のLPSにて刺激した前後の、ADAM-9,-10,-17の局在や発現の動態を、蛍光免疫細胞染色法にて観察する。 3)LPS刺激前後のそれぞれの細胞におけるADAM-9,-10,-17とTNF-α、IL-1β、IL-6のそれぞれの前駆体であるpro-TNF-α、pro-IL-1β、pro-IL-6のmRNAレベルと蛋白質レベルの発現量の変化をリアルタイムRT-PCR法とウェスタンブロッティング法にて測定する。また、細胞外に分泌されたTNF-α、IL-1β、IL-6は、培養上清中のそれぞれの濃度をELISA法にて測定する。
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