2014 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の口腔病原菌コントロールと関連性全身疾患予防の可能性-抗菌ジェルの効果-
Project/Area Number |
24593168
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
田村 宗明 日本大学, 歯学部, 助教 (30227293)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 耕一郎 日本大学, 歯学部, 教授 (80313518)
落合 邦康 日本大学, 歯学部, 教授 (50095444)
泉福 英信 国立感染症研究所, 細菌第一部第六室, 室長 (20250186)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 高齢者 / 医療・福祉 / 口腔ケア / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は天然抗菌成分であるカテキンを含有する口腔ケア用の抗菌ジェルを開発し、in vitroにおいて要介護高齢者の口腔内の主な病原菌に対して抗菌効果を示すが、口腔の正常維持に関わるレンサ球菌には影響を与えない「選択的抗菌効果」を示すことを報告した。 今回、このジェルの抗菌効果が介護予防教室に通われる健康高齢者および障害者の口腔内微生物群に及ぼす影響(in vivo)について、Real Time PCR法(各菌数算定)および次世代シークエンサー分析(菌叢の分布解析)による検討を行った。一方、ある種の金属イオンの抗菌効果が報告させていることから、口腔カンジダ症の原因菌であるCandida albicansに対する6種の金属イオン(ボロン,フッ素など)の抗菌効果についてin vitroで検討した。C. albicansは免疫機能が低下し、さらにこの真菌が付着しやすい義歯を装着している高齢者から頻繁に検出される病原真菌である。 カテキンジェルを口腔内に塗布した臨床実験の結果、健康高齢者および障害者ともに口腔を正常維持に関わる菌種の菌数影響が見られなかったが、口腔内歯周病原菌群においてすべての菌種で有意差は認められなかったものの、ほとんどの菌数は減少しており、このジェルによる口腔ケアは有効であると推測された。さらに、次世代シークエンサー解析は現在進行中である。一方、6種の金属イオンがC. albicansに及ぼす影響では、義歯レジンにイオンを添加するとC. albicansの付着能と病原性を発揮する菌形変化(菌糸形変換)が抑制された。さらに組織破壊に働くタンパク分解酵素の産生量も減少した。 これらの結果から,カテキンジェルおよび金属イオンは、高齢者のみならず、国民全体の局所ならびに全身疾患の発症予防に役立つものと示唆された。
|