2012 Fiscal Year Research-status Report
地域における介護システムを応用した歯科保健医療サービスの構築に関する研究
Project/Area Number |
24593169
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
尾崎 哲則 日本大学, 歯学部, 教授 (20194540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 任 日本大学, 歯学部, 助教 (40424741)
押川 麻衣子 日本大学, 歯学部, 助教 (80386127)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 在宅歯科システム / 訪問看護ステーション / 歯科医療機関 / 介護システム |
Research Abstract |
口腔領域は、日常の生活の中で機能を実感できる特性を有している。その比較的理解や認識しやすい特徴を応用し、「訪問看護ステーション」利用者の口腔保健向上のために、全国の訪問看護ステーション3000か所を対象に、歯科関連事業等の実施状況および歯科医療機関等との連携についてのアンケート調査を行った。回収率は21.6%と低かったが、東日本は比べ西日本が高い傾向にあった。データの解析から、口腔状態の把握は約90%で歯科医師が、口腔ケアは約70%で歯科衛生士が行っていた。しかし、60%弱で口腔状況の把握・口腔ケアともに行っておらず、これらは歯科専門職との連携が希薄であることが示唆され、歯科関係機関と具体的な連携方法を提示することの必要性が見出された。 自治体では関係法令の変更により、平成24年度末までに地域保健医療計画等の改正を行うこととなり、調査協力の得られる状況にないことから、一部の区市で聞き取り調査で行った。この結果、訪問看護ステーションに対して口腔ケア対策・支援は、他の研修会で触れる程度の自治体から、口腔ケアの連絡協議会を持つ自治体まで差があった。 先進実践地域の検討は、東京都多摩府中保健所と北海道庁からの訪問看護ステーションの情報提供を受けて行った。 ①口腔ケア等について比較的よく認識し、歯科関係者との連携が出来ている訪問看護ステーションの状況を、聞き取り調査で行った。同一市内にあり、同一法人が運営している訪問看護ステーション間の比較を、歯科関係機関との連携や人的な状況、実施事項について、検討を加えた。ここで抽出された因子は、地区歯科医師会との連携体制であった。 ②東京都内の訪問看護ステーションでの連携状況から、特に口腔保健支援推進要因を中心にデータの解析を行い、連携に向けての方略を検討した。その結果、口腔ケアに対するキーパーソンの存在の有無が因子として考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画とは順が異なり、最初に全国の訪問看護ステーションに対する調査を行い、調査解析に入っている。こちらの調査は、予定以上に進行している。引き続き、自治体に対する調査を一部開始した。これは、平成24年度中に、健康増進法・医療法等に基づき政令等改正に基づき、市区町村において医療保健計画やその他連携の計画の見直しが行われているため、本研究に関わる項目が変更される可能性があり、調査が困難な状況であった。これを補う目的で、調査が可能であった区市で聞き取り調査を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、調整機能等を有する行政サイドの認識や状況、あるいは、歯科保健医療サービスの実際の提供者である地域歯科医師会からのデータを収集・解析を行う。訪問看護ステーションからのデータのみでは、事業での組織間の連携や広く事業展開する際に求められる機能を十分に考察することができない可能性が高いために、このあたりを考慮して研究を推進していく予定である。 訪問看護ステーションで実施されている事業のうち、口腔保健と関連しているものを抽出し、施策を実行する際に有効な事業システムを構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度には、前述の理由で自治体および地域歯科医師会を対象にした調査が一部しか行えず、次年度に研究費の一部を持ち越すことになった。そのため、25年度はこの継続部分の調査研究を引き続き行う。 さらに、前年までの調査で得られた要因等について、その普遍化への妥当性を検討するとともに、それぞれの地域での歯科保健・医療機関の特性等も勘案し、「訪問看護ステーション」で、高齢者に対しより有効に口腔保健の推進が図られることを目的とするマニュアルを作成する。 本システムの意味・研究の意義の了解が得られた訪問看護ステーションで実施を試みるとともに、実施施設でデータ採取・分析も行い、利用者からの意見を参考に修正を図る。
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