2012 Fiscal Year Research-status Report
植物由来成分の歯周病予防薬としての役割に関する研究
Project/Area Number |
24593172
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
渡辺 清子 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (70148021)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜田 信城 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (20247315)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 植物由来ポリフェノール / 歯周炎 / 抗菌効果 / 歯槽骨吸収抑制効果 |
Research Abstract |
本研究は、日常的に摂取する食品やサプリメントによって歯周病が予防できないかという点について検討することを目的として行われている。 当該年度(平成24年度)は、松樹皮由来ポリフェノールおよび鶏血藤を用いて、①抗菌活性の測定および②実験動物による口腔内感染実験を行った。 ①抗菌活性については、適当な濃度の松樹皮由来ポリフェノールあるいは鶏血藤を含んだ細菌培養用培地を用いて、歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalis を培養し、発育素材が認められるかについて検討した結果、いずれのポリフェノール類にもP. gingivalis に対する有意な発育阻害効果および殺菌効果が認められた。 ②実験動物による口腔内感染実験は、松樹皮由来ポリフェノールおよび鶏血藤が歯周炎における歯槽骨吸収を抑制するかという点について、ラットを用いたPorphyromonas gi ngivalis感染による実験的歯周炎モデル(in vivo)での阻害実験を用いて検討した。すなわち、ラット口腔内へのP. gingivalis ATCC 33277株 生菌を感染し、各ポリフェノール類をP. gingivalis生菌を接種する時期と前後して短期的に抗菌活性の認められ た濃度を目安にラットに接種することによる歯槽骨の吸収量を、上顎臼歯部のセメントエナメル境から歯槽骨頂までの距離を測定して評価した。その結果、松樹皮由来ポリフェノールおよび鶏血藤には明らかな歯槽骨吸収抑制効果が認められた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、主にラットを用いた実験的歯周炎での鶏血藤、松樹皮由来ポリフェノールの阻害効果について検討を行った。ラット歯周炎モデルは、分担者の浜田が多く報告してきた方法であり、熟練した手法を用いて研究を遂行した結果、P. gingivalis により誘導される歯槽骨吸収に対して、植物由来成分による十分な抑制効果が認められた。 また、これらの植物由来成分には、P. gingivalis に対する抗菌活性が認められており、現在までの研究で歯周炎誘発を抑制する可能性が示された。この結果は、申請時に予想されたものであり、おおむね研究は順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
動物実験において、歯周炎予防に役立つ可能性が示された植物由来ポリフェノールが、単純に歯周病原細菌に対する抗菌活性を持ち合わせているために、細菌の口腔内定着を抑制した結果ではないことを証明する。 口腔内への定着抑制については、さらに培養細胞を用いた付着阻害実験、バイオフィルム形成阻害実験で検討を重ねることで評価を行う。 次いで、植物由来ポリフェノールが直接的あるいは間接的に骨吸収を引き起こす破骨細胞の分化誘導や活性化を阻害することについて検討を行い、各種ポリフェノール類が単純な抗菌活性によるものではない骨吸収阻害作用を有することを証明する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、in vitroの実験を中心に行う。 1.ヒト歯肉上皮細胞への付着性:P. gingivalis による歯槽骨吸収は口腔内への定着から始まるため、植物由来成分によるヒト歯肉上皮細胞へのP. gingivalisの付着性抑制性について検討する。即ち、P. gingivalis菌を細胞に添加後、 37℃で90分間 インキュベートして細菌を付着させ、付着した細菌数をBHI血液平板に塗抹することで計測する。この際、P. gingivalis菌を各種ポリフェノールを用いて前処理を行い、同様に付着させ未処理の場合と比較してポリフェノールによる菌の付着阻害について検討する。 2.破骨細胞分化誘導能の抑制の検討:Type I-Pコラーゲンで表面処理した48well plateに5-10週齢のC57BL/6マウスの大腿骨から採取した骨髄細胞と破骨細胞の分化支持能を持つ細胞であるMC3T3-G2/PA6を10%FCS、M-CSF、ビタミンD3、デキサメタゾンを含むα-MEM培地で7日間共培養する。培養終了後、TRAP染色を行い、TRAP陽性で3核以上の細胞を破骨細胞とする。以上の培養系に種々の濃度のポリフェノールを添加した時の破骨細胞分化誘導の抑制について検討する。 3.破骨細胞の活性化抑制の検討:5-10週齢のC57BL/6マウスの大腿骨から採取した骨髄細胞をM-CSF、RANKLを含むα-MEM培地で7日間培養し破骨細胞を形成する。これに無刺激あるいは種々の濃度のポリフェノールを添加しさらに2日間培養を行い、ポリフェノールによる破骨細胞のアポトーシス誘導を測定する。また、形成破骨細胞からRNAを抽出しMMP2およびMMP9のm-RNAの発現量を定量RT-PCRで測定する。
|