2013 Fiscal Year Research-status Report
口腔感染症予防のためのシンバイオティクスおよびバイオジェニックスの構築
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24593173
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
大島 朋子 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (50233101)
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Keywords | プロバイオティクス / プレバイオティクス / シンバイオティクス / バイオジェニクス |
Research Abstract |
本研究は口腔環境の健全化および疾患予防のために、薬剤や化学物質を用いず、新しいコンセプトである口腔「シンバイオティクス」と「バイオジェニクス」を構築するための基礎的研究を目的としている。平成25年度は以下のような実績が得られた。 前年度に候補菌株のスクリーニングを行った結果、歯周病菌に対し抑制効果を持つ菌株を2株候補菌とすることができたので、それらの産生抗菌性物質の分画化と特性解析を行った。 1.候補菌Aの培養上清を酢酸エチル分画により水溶性と脂溶性成分に分け、水溶性成分を質量分画カラムクロマトグラフィーで分け、抗菌性分画を得た。抗菌活性は乳酸依存性が高いことが示された。しかし、HPLCでの解析結果からは、乳酸ピーク以外にも多数の活性ピークが検出されたことから、ペプチドなどの乳酸以外の成分からなる抗菌物質の存在も示唆された。 2.候補菌Bの培養上清を1と同様に分画し抗菌活性を検討した結果、乳酸に依存せず、タンパク質かペプチドである可能性が示唆された。そこで、アセトン沈殿による上清成分の濃縮を行い、HPLCで分離し抗菌活性分画を得て、分子量分析したところ、既知の抗菌物質ではない可能性が示唆された。 一方、真菌であるカンジダに対する抑制効果を有する候補菌は、前年度のスクリーニングに酵母型のカンジダ菌のみで行ったが、より病原性が高いとされる菌糸型への抑制効果を検討した。その結果、前年度のスクリーニングで選ばれた5株中2株が特に阻止効果を発揮することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究結果より絞り込まれた候補菌の培養上清を用い、代表的歯周病原菌を抑制するバイオジェニクスとして働く有効成分の分画までが達成された。これは予定していた計画どおりに進行していることになり、次のステップへ以降できる段階に至ったと考えられる。したがっておおむね順調と判断された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の結果より、歯周病原菌とカンジダ真菌に対する抑制効果は、それぞれ異なる菌株の産生する異なる有効成分であることが予想されている。平成25年度では歯周病原菌に対する抑制成分を検討したので、平成26年度はその成分のさらなる精製および特性解析と、真菌抑制効果を持つ成分の解析を行う予定である。また、う蝕原因菌の不溶性グルカン産生能に対する抑制効果についてもあわせて検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
歯周病原菌に対する有効成分の精製および特性解析は1菌種に対して行うことを想定していたが、2菌種が候補となったために、最終的な特性解析は次年度に行うこととした。したがって、最終解析分の費用を繰越す必要があった。 物品費(試薬類、プラスチック製品など)、謝金(研究補助、データ整理)、その他(分析委託費など)にかかる費用は、25年度繰越金520,798円と合算した1,620,798円を予定している。
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