2014 Fiscal Year Annual Research Report
ジェット水流による口腔バイオフィルムの構造と菌叢への影響の定量的評価に関する研究
Project/Area Number |
24593178
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
加藤 一夫 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (60183266)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 口腔バイオフィルム / フッ化物 / ストロンチウム / S-PRGフィラー / depth-specific analysis |
Outline of Annual Research Achievements |
表面改質型酸反応性無機ガラス(S-PRG)フィラーは、ガラスコアの表層に安定化したグラスアイオノマー相を形成させたもので、フッ化物とともにナトリウム、ホウ酸、アルミニウム、ケイ酸およびストロンチウムのイオンを徐放する特性を有している。このような多種類のイオンを同時に歯垢に作用させた場合のフッ化物停滞能はほとんど検討されていない。そこで、S-PRGフィラーを配合する試作歯磨剤から抽出される成分のうちフッ化物、ホウ酸、アルミニウムおよびストロンチウムを対象に、depth-specific analysisの手法を用いてバイオフィルム浸透性を検討した。 被験者の口腔に歯垢採取装置を3日間装着し、そのエナメル質片上にバイオフィルムを堆積させた。口腔外で歯磨剤の濾過液( Al:369.4 ppm, B:506.4 ppm, F:193.0 ppm,Sr:1216.0 ppm)に装置を1分間浸漬後、再度口腔に戻した。30分間後装置を回収し、バイオフィルムを凍結乾燥後、メタクリレートで包埋した。バイオフィルムを表層から順に薄片化し、厚さ300μmの3層の試料に分離した。酢酸緩衝液を用いて無機イオンを抽出し、フッ化物はイオン電極で、他の成分はICP-AESを用いて定量した。一部の薄片をトルイジンブルー染色し、染色面積と切片の厚さから推定したバイオマス量により濃度を補正した。 その結果、ホウ酸とアルミニウムのバイオフィルムへの取り込みは確認できなかったが、フッ化物とストロンチウムはバイオフィルムの内部まで浸透することが明らかとなった。 カルシウムやマグネシウムなど2価の陽イオンは、バイオフィルム内のレンサ球菌とフッ化物の結合を促進し、フッ化物の停滞性を高め、フッ化物による細菌の乳酸産生能を抑制することが知られている。ストロンチウムも2価の陽イオンであり、同様の作用を生起する可能性がある。
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