Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, 歯周病治療に対するオゾン水・オゾンジェルによる抗炎症作用・殺菌・口臭抑制・止血効果を基礎医学的な実験系で探求することを目的とした.オゾン水は電解オゾン水生成器で精製し、オゾンジェルは開発した.ヒト歯肉線維芽細胞に歯周病原因菌由来LPS刺激により,産生する歯周病培養モデルへのオゾンによる炎症サイトカイン量の変化を分析した. 次に、オゾンによるP.gingivalis , P.intermedia , F. nucleatum , S. mutans の4 種の菌に対する最小発育阻止濃度を計測した. さらに,検知管式気体測定器にて,オゾンによる硫化水素, メチルメルカプタン濃度変化を測定した.また,マウス尾部切断創のオゾン水による局所止血効果を判定した.本研究の実験系で、炎症性サイトカインが抑制された.4 種の菌に対する最小発育阻止濃度の計測から, 細菌群の発育阻止を確認できた. 硫化水素, メチルメルカプタン濃度は抑制された. 局所止血の時間は短縮した.本邦において, 既にオゾンは食品, 農業, 畜産,工業, 医療分野など多方面に利用されている. 本研究より, オゾンによる炎症性サイトカイン抑制から抗炎症作用を確認できた。オゾンによる濃度依存的に齲蝕・歯周病の代表的菌群への殺菌効果, 口臭の主な原因物質である揮発性硫黄化合物である硫化水素,メチルメルカプタンの濃度より口臭抑制効果, 止血の短縮時間の比較よりエピネフリン同等の止血効果を確認できた.以上から、オゾンは、歯周病に限らず、一般的な歯科治療をはじめ,歯周外科, インプラント治療など口腔外科的治療には歯科医療に期待の大きい物質である.さらに, 本研究で解明されたオゾンがもつ, 抗炎症作用, 齲蝕・歯周病菌への殺菌効果, 口臭抑制効果 及び止血効果から新しい発想での治療薬に発展する可能性を秘めている.
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