Project/Area Number |
24593183
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Clinical Research Center for Allergy and Rheumatology, National Hospital Organization, Sagamihara National Hospital |
Principal Investigator |
鈴木 隆二 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), 診断・治療研究室, 室長 (70373470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 賢一 鶴見大学, 歯学部, 助教 (10518129)
濱田 良樹 鶴見大学, 歯学部, 教授 (70247336)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アマルガム / マーモセット / TCR |
Research Abstract |
本研究では, ヒトにおけるアマルガム含有水銀の生体内での免疫応答を解析する実験動物として, 新世界猿であるコモン・マーモセット(Callithrix jacchus,以下,マーモセット)を用いた実験を計画した.マーモセットは遺伝子相同性が90%前後で,ヒト疾患の病態をよりよく反映し,様々な化合物や生理活性物質の薬効,体内動態,代謝または安全性の評価に有用な実験動物である.さらには繁殖力が高く,小型で取り扱いや飼育が容易であり, また口腔内の環境もヒトに類似していることから歯科領域の動物モデルとして近年有望視されている.本研究成果を通してアマルガム含有水銀の生体内での影響について免疫学的な検証を行うことで,安全な歯科治療の確立へ寄与したいと考えている.24年度は、上記の研究目的の遂行の為に、マーモセットにおける免疫系解析ツールの確立に注力した.研究実績としては,定量的PCR系でのCD抗原(CD3ε, CD4, CD8α and CD20),サイトカイン (IL-1β, IL-2, IL-4, IL-5, IL-6, IL-10, IL-12β, IL-13, IFN-γ and TNF-α) 測定系の確立し、これら遺伝子の発現解析における精度の高い評価に必須であるリファレンス遺伝子の評価を行った.また、既に単離同定したTCR遺伝子に関して網羅的TCR解析を目的に解析系の確立を行い,健常マーモセットの末梢血,脾臓,リンパ節,胸腺におけるTCRレパトアについて情報を得た.上記した解析系の確立により平成25年度には,マーモセットの歯牙にアマルガムを充填させる実験を本格化し,ヒトの充填状態と同様な症状を示すモデル系の作成を目指する.水銀の含有量および充填部位による条件検討を行い, 発症頻度,病態,血液性状解析,尿検査,水銀溶出量,自己抗体の検出,サイトカイン・ケモカインの検出する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①マーモセットのTCRレパトア解析: 申請者らが既にヒトおよびマウスで開発した網羅的TCRレパトア解析法を基盤にして,我々が近年同定したマーモセットのTCR遺伝子情報から網羅的TCRレパトア解析系の確立に成功した.健常マーモセットの末梢血・脾臓・リンパ節・胸腺における網羅的TCRレパトア解析を終了し,健常時の情報として得る事ができた.その結果を論文にして発表した. ②マーモセットにおけるサイトカイン量の定量: マーモセットの免疫系の評価に必須である各種CD抗原(CD3ε, CD4, CD8α and CD20),各種サイトカイン(IL-1β, IL-2, IL-4, IL-5, IL-6, IL-10, IL-12β, IL-13, IFN-γ and TNF-α) の発現を詳細かつ高精度で検討するために,定量的PCR系の確立を行った.定量的PCR系による上記項目の発現解析にはその精度が要求されるが、その点に関しては、internal reference housekeeping genesの評価検討が必須である.我々はマーモセットの各種組織・臓器におけいて最適なリファレンス遺伝子 (GAPDH, ACTB, rRNA, B2M, UBC, HPRT, SDHA and TBP)の評価を geNorm analysis を用いて行った.これらの基礎的研究を基にしてマーモセットにおける各種サイトカインの発現を検討している.既に,アマルガム充填後の末梢血および各組織の試料を用いたIL-2, IL-4, IL-6, IL-10, IFNγ,TNFαなどの種々のサイトカインの発現に関して,リアルタムPCR法によりmRNAレベルの発現解析に着手している.
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Strategy for Future Research Activity |
マーモセットを用いた歯牙へのアマルガム充填に関しては、マーモセットの歯牙の解剖学的・組織学的評価に関する情報を得る必要性、および高価である点、動物愛護上からも慎重に行っている.他の研究目的で使用し安楽死させたサンプルを用いて技術的向上を行っている.その為、導入動物数を考慮し6頭から4頭に減少させた. ① マーモセットの歯牙へのアマルガム充填: アマルガム充填およびサンプル採取を継続する.充填後の評価は経時的に行われ,体温,活動性評価,皮膚検査,一般血液検査,血小板数,肝機能・腎機能検査,尿検査,血症中水銀定量,尿中水銀定量,さらに自己抗体価を評価する. 動物は安楽死させて,マクロおよびミクロの病理評価を行う(免疫染色,in situ hybridization). ② 自己抗体の検出: 1.抗核抗体(ANoA)の検出には、Hep-2 スライドを用いて間接蛍光免疫染色法により抗核抗体価(ANoA)を測定する.抗核抗体価について経時変化,性差などについて比較する.2.総IgG 値および総IgE 値の測定はアマルガム充填後の血清を用いてサンドイッチELISA 法により定量する.経時変化,性差などについて比較し,アマルガム中の水銀による自己免疫疾患誘導効果を評価する. ③ 細胞免疫学的解析: 1.末梢T 細胞の解析は,リンパ節および脾臓のT 細胞亜群についてFACS で解析する.さらに,制御性T 細胞の変化を調べるため細胞内Foxp3 染色によりCD4+CD25+Foxp3+細胞の頻度を測定し,コントロール群と比較する.CD69, CD62L, CD44 などの表面抗原に対する種々の抗体を用いて性状の違いを明らかにする.2.T 細胞の機能的解析は,前年度までに確立した網羅的TCRレパトア解析系、および定量的PCR系を用いて行いコントロール群と比較する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では,マーモセットの歯牙にアマルガムを充填させることで,ヒトの充填状態と同様な症状を示すモデル系の作成とその評価が目的である.マーモセットにアマルガムを充填するモデル作成に関しては、歯牙の解剖学的知識の集積が伴う事、動物愛護の観点からも慎重に行っている.その理由から初期予定した6頭から4頭の導入で検討を行ってきた.既に、免疫解析ツールの確立は予定以上の速度で達成され、今後は、アマルガム充填後の評価を行う段階である. ①実験動物はおよそ250千円/頭であり,初年度には6頭予定していたが4頭の使用となった.本年度は初年度で未使用数2頭を加算して8頭で総数は12頭を予定使用する. その他の実験試薬消耗品(遺伝子解析関連試薬,免疫生化学関連試薬,実験消耗品関連) については申請計画に変更は無い.また、旅費等(国内旅費,海外旅費,謝金、その他)に関しては、当初予定研究費の変更は無い.
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