2013 Fiscal Year Research-status Report
アメリカにおける近代看護創始期の成立,発展過程に関する歴史的研究
Project/Area Number |
24593204
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 公美子 札幌医科大学, 保健医療学部, 准教授 (30324213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城丸 瑞恵 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (90300053)
奥宮 暁子 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (20152431)
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Keywords | アメリカ近代看護史 / Charity / 看護教育 / 看護歴史的研究 |
Research Abstract |
平成24年度の研究結果から,アメリカ近代の看護教育の形成過程の背景には戦争や経済発展などによる急激な社会変動や国民の価値観の変換,女性の社会進出と地位・役割の変化などがあり,それらが大きく影響していることが把握できた.看護教育にはキリスト教との関連性も視野に入れた分析が必須である. 平成25年度は,キリスト教の関係者が中心となり地域の医療支援や看護活動を行ったといわれる「チャリティ事業」に着目し研究を遂行した.特に,アメリカでは南北戦争の際に負傷兵の看病にあたった活動が,その後チャリティ事業へと発展した歴史がある.主にニューイングランドやニューヨークの上層階級,中産階級の婦人で組織された慈善団体が資金を調達し,医師や無資格の看護婦を動員して野戦病院を各地に建て兵士の衛生管理を支援した.また,同時期にはカトリックの看護修道女も多くの負傷者の看病にあたっていた.このような事実を見るとき,チャリティ事業が看護教育の草創に何らかの影響があると考えられた.本年度の研究の中心は,アメリカにおいて看護教育が開始となった同時期に設立された“National Conference of Charities and Correction”の収録文書,つまりチャリティ事業の活動記録を取り上げることにした.これまで蒐集してきた一次史料1874年から1919年の“Proceeding of the National Conference of Charities and Correction”を分析し、近代の看護教育や看護婦について,会議の席ではどのような事項やトピックスが取り上げられていたのか,そして社会に看護教育がどのように周知されていったのか,また,看護婦の地位がどのような過程で位置付けられていったのかを明らかにしてきた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に則り、国内外で一次史料を順次、蒐集し分析を加えてきた.今年度は近代における日本とアメリカ看護とを繋ぐ、イギリス看護へとさらに視野を拡げて研究を遂行した.それは,アメリカ看護の発展には,イギリスあるいはアイルランドからの移民が大きく関与していると思われたからである. 平成25年度は渡英し,近代イギリス看護の資料を多く収集してきた.また、医学&看護ミュージアムを訪問し,その歴史的展示物に触れ,ミュージアムや資料館・図書館の方とディスカッションをしたことで大いなる研究の示唆を得た. 国内及び国外での学会発表も行い,計画通りに遂行していると評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は最終年度に当たるため,これまで蒐集した資料の整理,分析を進め,学会発表及び論文発表を行っていく(国内外旅費の計上).また,有用な史料をセレクトしたうえで翻訳作業を行う(謝金の計上).
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、国内及び国外にて研究活動を行ったが本資金は活用しなかったため残額となった。また、翻訳資料の検討に時間がかかり、その謝金が残った。 平成26年度は、国内外への資料収集と成果発表の費用にあてる(旅費、謝金費、学会参加費計上)。
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Research Products
(6 results)