2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24593220
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
塚越 みどり 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (60405016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船越 健悟 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60291572)
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Keywords | 温罨法 / 皮膚血流 / 皮膚温 |
Research Abstract |
本年度は成人健常者に背部温罨法を実施したほか、ラット背部への逆行性標識を実施し、温熱受容体について検討した。 60℃10分間、背部への温罨法を7名(実験群)へ行い、終了後30分までの手指の皮膚温、足趾、指尖の皮膚血流量を測定した。罨法を実施しない仰臥位臥床のみをコントロール群とし、同じ対象者に別日程で実施した。その結果、実験群は足趾、指尖の皮膚血流量は罨法中、一過性に減少するが、罨法後は増加に転じていた。また、皮膚温は罨法開始後、指尖は速やかに上昇するが、足趾は指尖より遅れて上昇する傾向があった。罨法を実施する前の指尖、足趾皮膚温が低かった事例は、皮膚温、皮膚血流の上昇幅が最大であり、指尖、足趾皮膚温の上昇幅が最小であった事例は、皮膚血流の増加割合も低い傾向がみられた。コントロール群の皮膚温、皮膚血流量の変化はわずかであり、実験群はコントロール群よりも皮膚温は上昇し、皮膚血流は有意に増加した。 このほか、本年度は荷重計測ソフトを備えた超音波画像装置を購入し、4例の温罨法前後の背部表層の筋厚も測定した。罨法の実施前に比べて罨法後は、荷重負荷時の筋の厚さが減少しており、本方法によって筋の硬さが軽減される可能性もある。次年度も引き続き測定を行い、温罨法前後の評価を行う。 さらに、ラット僧帽筋への逆行性標識を実施し、免疫組織学的手法により温熱受容体であるTRPV3、TRPV4、CGRP の筋血管周囲への分布、脊髄神経節における分布を検討した。 その結果、ラットの背部の表層筋の筋血管周囲の神経終末に27-35℃の温度刺激の受容体であるTRPV4が発現し、血管拡張に関するペプチドであるCGRPが共存していることを確認した。これらは知覚神経終末に分布していると考えられ、現在、背部へ投射する知覚神経細胞の分布様式を分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定数の対象者の温罨法の実験は終えているが、超音波による筋の厚さ測定については、客観性を高めるために症例数を追加する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は本課題の最終年であり、背部温罨法の作用機序を生体で測定した各指標と動物実験の結果から生理学的、解剖学的に説明することが責務である。本方法の作用機序モデルを構築し、公表を行う。また、TRPV3が筋血管に分布する可能性は高く、免疫組織学的手法で染色を行ったが昨年度の実験では、陽性の反応が出ていないため、研究チーム内で方法の再検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
温熱受容体を年度末に発注したが、海外への発注のため、納品に時間を要し、該当金額を次年度に繰り越す必要が生じた。 温熱受容体の免疫染色用抗体の購入に費用を充当する予定である
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Research Products
(2 results)