2013 Fiscal Year Research-status Report
口腔の不使用性シンドロームに対する看護介入プログラムの構築
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24593221
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Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
大石 朋子 (大塚 朋子) 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助教 (40413257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水戸 優子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (70260776)
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Keywords | 口腔ケア / 口腔リハビリテーション |
Research Abstract |
平成25年度は、国内における口腔ケアの現状と課題を明らかにするための実態調査に向けて国内外の口腔ケアに関する文献検討を行い、質問紙の内容を検討した。 1)質問紙作成に向けての文献検討 医中誌Web(ver.5)を用い「口腔ケア」「看護」をキーワードに2008年以降の原著論文に限定して検索すると336件あり、口腔ケアに焦点があたっていない、看護師が対象ではないもの等を除くと29件となった。看護師による口腔ケアの研究で最も多かった着目点は、肺炎・感染防止(野澤,2013;門田ら,2011)で20件、次に口腔ケアの実態を把握(横塚ら,2012;堀河ら,2012;大辻,2011)が5件であった。また、CINAHLおよびMEDLINEを用いて「oral care or mouth care」と「nurse」をキーワードに2003年以降の文献に絞り、重複文献を除き、看護師が行う口腔ケアの実践に焦点を当てた文献は28件であった。看護師が行う口腔ケアを行う対象は、成人・高齢者に対するものが大半を占め、急性期的な変化を伴う患者を対象とする研究は12件でventilator associated pneumonia(VAP)や口腔の感染源の除去(Chanら,2012;Turkら,2012)に着目していた。口腔の廃用予防に着眼した口腔ケアはあまり積極的に行われていない可能性があり、質問紙の内容を修正する必要が生じた。 2)病院に勤務する臨床看護師に対する聞き取り調査 開口保持が困難などの理由から、スワブやジェルの使用した口腔ケアで十分だろうと考え、口腔機能に対する刺激やリハビリテーションを加味した口腔ケアに消極的であった。 口腔ケアの既存の実態調査では、看護師によって全介助で口腔ケアを受ける者に対する方法に特化して調査を行う必要があると考え、調査方法を修正・変更して実施することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
質問紙作成に向けての文献検討した結果、特に急性期医療においては、肺炎予防に着眼点があり、積極的に口腔のブラッシング、洗浄といった方法を選択されることは少なく、その原因は、持続的な開口保持、洗浄した汚水の咽頭流入による誤嚥や肺炎を危惧などであることがわかった。単に、口腔機能に廃用障害をきたしている、もしくは、廃用障害が生じる可能性のある患者に対して、看護師がどのように器具を使用しているのかといった調査だけでは、口腔リハビリテーションにつながる口腔ケアを検討していくことは難しいと判断し、ケア方法の選択理由や判断根拠にまで踏み込んだ調査をする必要があると考えた。文献検討に加えて、病院において実際に口腔ケアを行っている看護師に対して現状の聞き取り調査を行った後に質問紙調査を行う必要があると考え、平成25年度に予定していた実態調査を終えることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度は、口腔ケアの方法だけではなく質問項目に口腔機能のリハビリテーションも含めて実態調査を行うこととした。 質問紙作成にあたって、摂食嚥下リハビリテーションに従事している医療職に口腔ケアを実施するうえでの困難な状況や工夫点などに関するグループ・インタビューを行い、その内容も検討したうえで、調査を実施する。グループ・インタビューの参加者は、機縁法によるものであるため、実施することは十分可能である。 また、H26度から高齢者を対象とした研究を多く行っているグライナー智恵子教授を連携協力者から分担研究者へと変更し、研究を実施していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度に、病院機能評価機構の認定を受けた200床以上の病院を層化無作為標本抽出法によって100施設を選択し、その病院に勤務する看護師を対象に口腔ケアに対する実態調査を行う予定であった。しかし、文献検討した中から質問項目を抽出するのでは不十分ではないかと疑問が生じ、質問項目の検討をしている中盤で、病院で口腔ケアを実施している看護師に対して聞き取り調査を行った。その結果、質問項目の内容をインタビュー等を行い、さらに内容を吟味する必要があると考え、口腔ケアに関する実態調査はH26年度へと延期して行うこととした。 質問項目に口腔ケアを口腔リハビリテーションにつなげていくことを念頭にした内容を含めるための対応策として、グループ・インタビューを実施する。グループ・インタビューの協力者は、機縁法によるもので、摂食嚥下リハビリテーションに関わっている医療従事者とする。口腔ケアの実施方法や医療従事者らに口腔ケアを受けている患者らの特徴、工夫点などの内容をについて、グループ・インタビューを実施する。インタビューで得たデータを分析し、その結果をもとに、質問紙の内容を再度検討して、実態調査を行うこととする。
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