2013 Fiscal Year Research-status Report
避難所内の被災者に対する支援活動を体験的に学習するための教育・研修方法の開発
Project/Area Number |
24593233
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
片山 貴文 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (60268068)
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Keywords | 災害 / 教育 / 被災者 / 避難所 / 看護 / 体験 / アセスメント / 研修 |
Research Abstract |
東日本大震災では、災害支援のイメージとして、救護や救急搬送トリアージを思い浮かべる者が多く、慢性疾患に対応することに戸惑いがみられたことが課題として指摘されていた。本研究は、避難所において、被災者の心情を理解した上で、被災者から必要な情報を聞きとるような場面を体験できる新しい教育・研修方法を開発している。 平成25年度の目標は、体験型の教育・研修を実施すること、および、その教育効果を明らかにすることであった。とくに、比較的難易度の易しいシナリオを作成したことにより、災害看護学などの大学の講義科目の中で看護学生を対象に展開できる可能性が広がったため、看護大学生を対象として教育を実施した。 その結果、教育の方法に関する評価として、(1) 教育の時間は適切でしたか (「はい」86%、以下同様)、(2) 避難所・被災者の状況設定場面は適切でしたか(97%)、(3) ロールプレイの中で模擬被災者役を演じることに問題はなかったですか(91%)、(4) 特別な準備をする必要なく実施できましたか (93%)、(5) 体験型学習を取り入れたことは効果的でしたか(99%)、という評価が得られた。 また、教育の効果に関する評価として、(6) 被災者の心情を理解して関わることの大切さについて理解できましたか(98%)、(7) 最終的に被災者の抱える重要な問題をアセスメントできましたか(76%)、(8) アセスメントの結果や活動記録を正しく引き継ぐことの重要性について理解できましたか(93%)、(9) 救護、救急搬送、トリアージ以外の避難所での役割を理解できましたか(87%)、(10) 避難所における被災者への対応について自信がつきましたか(36%)、(11) 今回の学習によって災害看護に対する学びが深まりましたか(95%)、という評価が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、災害派遣ナース養成講座の受講者だけでなく、災害看護学などの大学の講義科目の中で、看護学生を対象に展開するなど、幅広い対象者への活用ができるのではないかと考え、模擬体験のシナリオのバリエーションを増やし、受講者のレベルに応じた状況設定ができるようにすることが目標であった。 平成25年度には、(1) 比較的難易度の易しいシナリオを作成し、これらを教材として使用できる形に作り上げることができた。(2) 新しいシナリオを作成できたことから、新たなフィールドを開拓し、2つの大学の看護学生を対象として、災害看護学の講義の中で、教育を実施することができた。(3) 教育の方法に関する5つの評価項目と、教育の効果に関する6つの評価項目を用いて、評価を実施することができた。 これら3つの達成内容は、平成25年度の目標としていたものであることから、本研究は、目標に沿って順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針としては、避難所の被災者に対応した新しい体験型の教育・研修方法について、これまでに得られた研究成果をまとめ、発表することが目標である。また、教育方法のブラッシュアップを図ることも目標である。 なお、今回の調査結果によると、例えば、教育の効果に関する評価項目のうち、「避難所における被災者への対応について自信がつきましたか」で、「はい」と回答した者が36%と低値であることが明らかとなり、これが新たな課題として浮上してきている。したがって、「自信がつくこと」につながるようにすることが最優先の課題であり、さらなる内容の洗練が不可欠であると考えた。 そこで平成26年度は、教育方法のブラッシュアップを図ることを優先的に実施し、シナリオや教材の見直しを行い、自信がつくことにつながるように改良を行うことを目標とする。具体的には、例えば、被災者へのかかわり方の事例を用意し、良い見本や悪い見本として、どのような状況で使用するとどのように感じ取られるのかについて、イメージ化ができるようにすること等で、改善が図れるのではないかと考えている。
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Research Products
(5 results)