2013 Fiscal Year Research-status Report
新しく開発した清拭素材は入院患者に満足感をもたらすか
Project/Area Number |
24593236
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Research Institution | Kagawa Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
松村 千鶴 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 准教授 (50331864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深井 喜代子 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (70104809)
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Keywords | 綿タオル / 化繊タオル / 清拭効果 / 主観的評価 / 客観的評価 |
Research Abstract |
本研究は,綿タオルと使い捨ての化繊タオルの素材の違いが全身清拭効果にどのような影響を及ぼすか比較することを目的とした。健康男性15名を対象に,使用直前に55.6±0.1℃に準備したタオルの種類だけを変え,異なる日に同じ方法で(陰部を除く)全身清拭を実施した。清拭効果の評価指標には深部温,皮膚温,血圧,心電図(心拍変動),POMS短縮版,覚醒度とリラックス度(VAS),素材の肌触りのリッカートスケールを用い,異なるタオルを用いた清拭効果の群間ならびに群内比較を行った。その結果,両素材ともに,清拭終了30分後まで深部温が上昇した(p<0.05)。また,綿タオルでは右第4指腹部以外の3ヶ所で,化繊タオルでは4ヶ所で清拭終了30後まで皮膚温が上昇した(p<0.05)。また,両素材ともに清拭実施中から終了30分後まで心拍数の減少が見られたが,その間,綿タオルでは副交感神経活性(HF)が高値で推移し,交感神経活性(LF/HF)が低下し続けた(p<0.05)。しかし,化繊タオルでは清拭終了30分後まで副交感神経活性(HF)は変化がなく,交感神経活性(LF/HF)は一旦低下した後上昇した。肌触り感は綿タオルでは「汚れが落ちた感じがする」,化繊タオルでは「柔らかい」が高評価であった(p<0.05)。さらに,綿タオルでは清拭終了後のPOMSの評点が減少した(p<0.05)。以上の結果から,全身清拭では綿タオルのほうが化繊タオルに比べ,主観的評価を支持する結果であり,心地よさに優れていた。 以上の内容を平成25年度に学会発表し,平成26年度には論文投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では,今回の結果をもとに入院患者を対象に化繊タオルの清拭効果を主観的・客観的に見ることを予定している。研究を遂行するに当たり,対象は病状が安定しているコミュニケーションが可能で認知力のある65歳前後としている。そして,2つの医療施設の倫理審査の承認を得た。しかしながら,清拭を受ける対象者には認知力に欠ける人が多く,主観的評価ができないということでデータを収集するまでに至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
2つの医療施設と綿密に連絡を取り合い,該当する入院患者がいれば即座にデータを収集できるように待機しておく。或いは,該当者が少ない場合は,他の医療施設にも依頼し,フィールドを拡大させる。そして,今年度中に15名以上の対象のデータを収集し,結果をまとめ学会発表,論文作成をする。さらに,業者と連携することにより,実践で活用できる効率的で医療経済も考慮した化繊タオルの開発を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由は,研究の遂行が遅れていたこともあり,国際学会への発表,論文における英文翻訳等ができなかった。 研究の遂行が順調に進めば,国際学会への発表,英文翻訳を含めて論文投稿をする。
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