2015 Fiscal Year Annual Research Report
新しく開発した清拭素材は入院患者に満足感をもたらすか
Project/Area Number |
24593236
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Research Institution | Kagawa Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
松村 千鶴 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 准教授 (50331864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深井 喜代子 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (70104809)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 化繊タオル / 入院患者 / 清拭効果 / 主観的評価 / 客観的評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、安全で快適、医療経済も考慮して開発した清潔ケア技術を、我が国の看護実践の場に普及させることである。医療現場では、新しい治療や検査が導入され業務が増え、看護職は多忙を極めているのためケア技術には簡便化・省力化が進んでいることから、ケアの質の保障が困難になってきている。これまで私どもが行った看護者に対する全国調査では、入院患者の全身清拭は蒸した綿タオルで極簡単に済まされていることや、看護者は達成感が得られないこと、患者への面接調査では患者は不満を感じていることが分かった。 一方、私どもが再利用する綿タオルの細菌培養を専門機関に委託しところ、感染予防上、無視できない量の一般細菌が棲息していることが証明され、安全な清拭素材でないことが明らかになった。また、私どもは、まず、綿タオルに代わる素材として使い捨ての化繊タオルに着目し,形状と厚みの組み合わせが著しく異なる3種類中、薄型不織布タイプが主観的、生理的に最も優れていることを見出した。そして、化繊タオルと綿タオルの全身清拭効果を実験的に比較したところ、生地表面にループのある綿タオルのほうが化繊タオルに比べ皮膚を拭かれたときに受ける触・圧刺激が自律神経系の働きに影響し主観的にも心地よさの点で優れていたものの、ほぼ同等な素材であることを実証した。 さらに、実践の場での化繊タオルを用いた全身清拭を入院患者に行い、その効果を健康者と比較検証した。その結果、化繊タオルによる全身清拭効果を入院患者と比較すると、後者では温度感覚や循環反応に顕著に出現したが、前者ではこれらの反応がほとんどなかった。これについては、対象を健康若年者と高齢入院患者を比較するのではなく、健康高齢者と高齢入院患者、或いは健康若年者と若年入院患者で比較する必要があった。例数をさらに増やし再検討することを考えている。
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