2013 Fiscal Year Research-status Report
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24593250
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Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
菱沼 典子 聖路加国際大学, 看護学部, 教授 (40103585)
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Keywords | 看護技術 / 実態調査 / 気持ち良さの効果 / 看護実践 |
Research Abstract |
本研究は、2002年に実施した調査を踏まえて看護技術が10年間でどう変化したか、していないかを調査し、研究成果の実践への貢献を検討することと、看護技術を再定義し、看護技術の効果として気持ちいいと感じることの意味を明確にすることを目的として、研究1「看護技術の現状調査」、研究2「人間関係の技術の効果への影響」、研究3「技術の結果としての『気持ちいい』の意義」を行っている。 本年度は、連携研究者を増員し(加藤木真史、伊藤美奈子、大橋久美子いずれも聖路加看護大学所属)、昨年度実施した研究1の調査結果を分析、学会に発表した。①医療機器の電子化が進んだことにより、看護師がデジタル化された数値によって、患者の状態把握を行っていること、②現場と基礎教育の乖離がそのままになっている技術があること、③研究が進み、エビデンスが蓄積されている技術で、実践に取り入れられているものは少なく、研究が生かされていないことを提示した。看護実践において、どの看護技術を選択するかの要因、看護技術研究の成果はそこに貢献しているのかについて、学会場で研究者との討議を深めた。さらに、基礎教育で教える技術と現場での乖離から、基礎教育で教える看護技術の意味合いを明確にする必要性が再確認された。 研究2は、人間関係が看護技術の効果へ影響することを示すための、健常者を対象とした準実験研究で、本年度測定用具を検討し、研究計画書を作成した。しかしながら、人間関係を測ることに関し、研究倫理審査委員会より指摘があり、計画の変更を検討中である。 研究3は昨年度に引き続き、『気持ちいい』が何をもたらすかをテーマに研究をしている研究者らの協力を得て、3回討議会(6月、12月、3月)を行った。この中で、看護実践と看護技術の用語の整理ができ、論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究1と研究3に関しては順調に進展している。研究1の実態調査に関しては、学会発表を終え、学会での論議を加えて、論文投稿の準備にはいっている。研究3は、看護技術と看護実践の用語の混乱が整理でき、すでに技術の効果と実践の効果、そこに加わる人間関係の位置づけが明瞭になった。この点については、論文執筆中となっている。また、看護がもたらす気持ちよさについては、仮説にいたっており、整理の見通しがついている。 ただし研究2については、人間関係を測るため、関係性がある状況設定を要するが、既知の仲の2者(学生と教員、あるいは教員同士)を被験者とすることは、あたかも評価をしていると誤解をされるとの指摘があり、研究デザインを全面的に再考せざるを得ない状況になった。このため今年度データ収集を予定していたが、達成できていない。 以上のように順調なものと遅れているものとがあるため、やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
1)研究1に関しては、連携研究者らとともに実態調査の結果を論文を執筆、投稿する。 2)研究3に関しては、まず看護技術と看護実践の定義について、論文を執筆、投稿する。また、看護技術を用いた気持ちのよい看護実践が、効果として何をもたらすかをまとめる。計画のd難解ではここまでを予定していたが、順調に進んだため、さらに気持ちよさをもたらす看護技術として温罨法を例にして、看護技術と看護実践の整理が妥当かどうか、並びに気持ち良さがもたらすもののまとめが妥当かどうかの検証を試みる。 3)研究2について、看護実践における人間関係の影響を生理学的データで測定可能なデザインを再考し、計画書を作成しなおして実施したいと考えている。しかし、実験設定が不可能な場合には、看護師へのインタビューによる事実集積を計画することも考慮している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度の残金と合わせ1,475,295円で本年度の活動を計画したが、研究2(人間関係への効果への影響)が実施に至らなかったため、その予算30万が未消費となった。研究3の検討会についても会場費をかけず予算を20万下回った。また研究連携者を増やしたことで、資料整理等の人件費も削減できた。これらの要因から、本年度は予算を下回る額で研究を遂行できた。 次年度は本年度の残額834,228円を加えた1,734,228円で研究を遂行する。当初の予算はその通りに運用する予定であるが、昨年度からの残額については、①本年度実施できなかった研究2については、計画の変更の可能性はあるが、結果が得られるよう、本年度実施し、30万円を予定する。②当初の計画に加え、研究3が計画を上回る進展となっているため、温罨法を例にした検証を計画したので、その調査費、会議費、旅費として計50万円を予定する。
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Research Products
(3 results)