2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24593250
|
Research Institution | St. Luke's International University |
Principal Investigator |
菱沼 典子 聖路加国際大学, 看護学部, 教授 (40103585)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 看護技術 / 看護実践 / 患者ー看護師関係 / 看護の効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度、看護技術の効果に看護における患者ー看護師の人間関係が影響するかどうかについて、看護師がどのように認識しているを調査した。はじめに、自記記入式のアンケート調査を実施し、165枚(回収率90.2%)の回答を得た。その結果、相性が良い・悪いを感じたことがある看護職が9割を超えていた。また、ケアの関係性をつくろうとしてもできる場合とできない場合があると感じているのが、85%に及んでいた。相性が良い時の方が悪い時より、看護技術の効果が大きいとほとんどが認識していた。看護実践は人間関係を基盤にし、看護技術を用いてなされるが、基盤であるがゆえに、良い関係性をとらなければならないと考えられ、教育されてきた。今回の調査で、看護職が関係性の良し悪しがあることを認識していること、それが看護の効果に影響すると感じていることが明示され、どのように影響するかの解明が必要になっている。現在面接調査によって、相性の良し悪しやケアの関係性が、どのように看護技術に影響するのかを調査中である。 また、便秘症状の緩和を目的とした温罨法を題材にして、看護技術の構成要素(作用機序、生体反応、臨床効果(1次効果)、手順、安全性)を含む解説書「便秘症状緩和のための温罨法Q&A」を作成し、必要な情報が十分入っているかどうか、過不足がないかを検討し、看護技術の構成要素を検証した。作成したQ&A(案)を、日本看護技術学会の交流セッションで配布、説明し、看護師が臨床で使う時に必要な情報が、十分入っているかどうか、過不足がないかどうかについて、参加者から意見をもらい、看護技術の構成要素が実践に用いる段階で適切であるかどうかを検討した。これを受けて、現在Q&A(案)の修正に取り組んでいる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、1)国民に提供されている看護技術が10年間で変化しているか、今日の時点での状況を把握し、特に、妥当とは考えられないものが看護技術として今日でも実施されているのか、効果が実証されている技術がどの程度普及しているのかを明らかすることと、2)看護技術の構成要素に関し、看護技術の効果に人間関係が作用するかどうかを明らかにし、効果として気持ちいいと感じることの意味を明確にすることの2つを目的としている。 1)については、既に調査を終え、調査結果は学会で発表し、現在論文は投稿中のものと執筆中のものがあり、ほぼ目的を達成している。 2)について、人間関係の影響を図る研究について、当初予定した計画が倫理的課題(被験者の特定ができること)があったことから、大幅に研究計画を変更したため、当初の予定より遅れて開始する結果となった。このため、現在調査中であり、本年度1年間の研究期間延期の承認を得た所である。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在継続中の、看護技術への人間関係の影響について、面接調査を進める予定である。また、看護技術の構成要素と、看護実践の効果について、さらに検討を重ね、本年度中に研究を終結する予定である。また、研究結果の学会発表と論文執筆を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
本研究は①「看護技術の現状調査」、②「人間関係の看護技術の効果への影響」、③「看護技術の効果と構成要素のまとめ」の3つの研究を統合する計画で進めてきた。①については調査を終え、現在論文を投稿また執筆中である。②について、人間関係を題材としたため、当初の研究計画は被験者への負担が大きいとの指摘により、実施できなくなり、大幅に研究を練り直した。このため着手が遅れ、データ収集を終えることができなかった。研究③は温罨法を題材に、研究を進めてきたが、②の結果を統合する必要があり、終結に至らなかった。 以上の理由から、1年間の延長を計画した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の研究費は、①「看護技術の現状調査」について論文執筆と投稿費用、②「人間関係の看護技術の効果への影響」については、アンケート調査の結果の分析と学会発表および投稿費用、ならびに昨年度より継続している面接調査のデータ収集と分析、学会発表と論文執筆費用、③「看護技術の効果と構成要素のまとめ」について、会議と学会発表m論文執筆費用とする予定である。
|
Research Products
(3 results)