2012 Fiscal Year Research-status Report
高校生が家族に行う「災害外傷予防教室」の教育プログラム開発
Project/Area Number |
24593253
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小島 善和 東海大学, 健康科学部, 准教授 (60215259)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 |
Research Abstract |
高校生を対象とした1日コースの外傷予防教室を2回(参加者合計23名)と2日間コースを1回(参加者6名)、および養護教諭を対象とした外傷予防教室(参加者合計6名)を開催し、教材開発と授業評価を実施した。 外傷予防教室に参加した高校生が、家族に対して外傷予防教育を実施するための基礎データを収集したが、両親や兄弟を対象とする外傷予防教室の開催に賛同した参加者はわずかであった。 外傷予防教室への参加動機は、医療系大学への進学希望やスポーツ外傷予防、救護活動への関心が多かった。教育方略として、相方向型教授・学習法やシミュレーション下での演繹的・帰納的推論を育成する方略を取り入れた体験型授業による教育効果を検討した。 外傷予防活動に先進的に取り組むカナダ国オンタリオ州を2012年11月19日から11月25日まで訪問した。外傷の応急手当と心肺蘇生法、心筋梗塞や脳卒中の応急手当などの救急処置法の研修を受け、外傷予防教室における「傷ついた人を助ける」のカリキュラムに反映する方略を検討した。また、トロント市のサニーブルック病院で開催している「P.A.R.T.Y(Prevent Alcohol and Risk-Related Trauma in Youth)Program」に参加し、責任者と組織運営や教育・学習方略について意見交換を行い、インターネットを用いた多国間外傷予防教室の開催などプログラム運営についての共同研究の検討を行った。 活動成果の一部を、第14回日本救急看護学会交流セッションで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
高校生を対象とした外傷予防教室の参加者に、災害外傷予防教室を開催して、高校生が家族を対象とする災害外傷予防教室を企画し開催するにあたって、主催者は参加した高校生の親子関係をアセスメントし、どのような支援を必要としているかを明らかにすることの重要性が示唆された。また、高校生が教材を作成することは、家族への教育へのきっかけになることも示唆された。 サニーブルック病院(トロント市)のP.A.R.T.Y Programの責任者との話し合いの中で、カナダ、オーストラリア等の高校生と外傷予防に関わる意見交換をインターネット上で行う企画や教授法の情報交換、2013年度に日本の学術集会への招へいを行うことなどを決定した。 外傷予防教室のカリキュラムに取り入れた、高次脳機能障害患者と家族の方々の講和から、高次脳機能障害患者・家族会との交流が生まれ、障害を抱えての生活について、高校生に学習の機会を提供できた。また、頚髄損傷と脊髄損傷の方々との交流を設けたことで、外傷を一瞬の出来事としてとらえるばかりでなく、一人一人の人生にどのような影響をもたらすかを考える機会を提供できた。
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Strategy for Future Research Activity |
外傷予防教室から災害外傷予防教室、家族への災害外傷予防教室へと、学習内容を段階的にステップアップして、全課程の修了生には修了証を授与する一連の教育課程を構築する。各教室では、授業評価を実施して、教育目標と授業評価の関係性をアセスメントする。 また、外傷予防に対する高校生の演繹的推論能力と帰納的推論能力を向上させる方略を、外傷予防教室に参加した高校生への授業評価のアンケートから導き出す。 サニーブルック病院P.A.R.T.Y programの責任者をわが国に招へいし、看護系学術学会と看護系大学院学生、臨床看護師・高校の養護教諭を対象とした講演会を開催して、外傷予防の概念が講演会の前後でどのように変化したかを明らかにする。モントリオールで開催されるカナダ外傷予防・安全促進学会で、研究成果を発表するとともに、カナダ、USA、オーストラリア、ドイツ、ブラジルのP.A.R.T.Yコーディネータとの情報交換を行い、わが国の高校生にマッチした教育プログラムの修正を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
外傷予防の講義が、一方的情報の提供にならないように、クリッカーを用いた相方向授業の有効性について検討する。また、2012年度に開発・検証した講義・演習・見学の各カリキュラムの評価を継続する。外傷予防教室を受講した高校生が、家族を対象に「外傷予防教室」を開催する上で、青年期前期の発達課題や親子関係の課題が明らかとなったため、大学での外傷予防教室から家庭での外傷予防教室の開催までのステップについて、検討を深める。 10月にカナダのモントリオールで開催されるカナダ外傷予防安全促進学会で研究成果を発表するとともに、P.A.R.T.Y programコーディネータ会議に出席予定。11月にサニーブルック病院P.A.R.T.Y programの責任者をわが国に招へい予定。
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Research Products
(2 results)