2013 Fiscal Year Research-status Report
高校生が家族に行う「災害外傷予防教室」の教育プログラム開発
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24593253
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小島 善和 東海大学, 健康科学部, 准教授 (60215259)
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Keywords | 災害外傷 / 外傷予防学 / 外傷予防教育 / 国際研究者交流トロント / 国際情報交換モントリオール / 外傷予防サイクル |
Research Abstract |
2013年度は3回の外傷予防教室を開催し、参加した46名の受講生から授業評価を中心とするデータを収集した。参加者は、神奈川県下の高校生が大半であったが、遠方の高校生も受講するようになり、ホームページの有効活用への示唆が得られた。また、高校の総合的な学習の時間を利用し、3校で外傷予防の講義を実施した。 訪問成果はタイとモントリオールの学会で発表した。また、P.A.R.T.Y(Preventing Alcohol and Risk-Related Trauma in Youth)活動の本部であるサニーブルック病院(カナダ、トロント市)から、代表のJoanne Banfield氏を招へいし、神奈川県看護協会、日本救急看護学会(福岡)と東海大学で講演会を開催した。Joanne Banfield氏より、外傷予防サイクルの説明を受け、交通事故被害者の会で、外傷・傷害予防学の講演を行った。 2013年に改正された障害者基本法では、第三章に障害の原因となる傷病の予防に関する基本的施策が取り上げられているが、外傷・傷害・障害予防の重要性について認知されていない状況が明らかとなってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外傷予防教室を受講した高校生は、医療関係の仕事に就きたい希望を持っている生徒と部活でケガをしないように、仲間がケガをした場合の適切な応急手当の方法を学びたい生徒であった。 外傷予防教室のテーマは、地震や津波などの大規模災害にあった時の外傷予防から、いじめや暴力に伴う心的外傷の予防、交通外傷の予防まで、幅広いテーマで開催した。 すべての受講生に、家族とともに外傷予防教室を受講するかを尋ねたが、参加を希望する受講生は、1割に満たなかった。 地震や津波災害時の初動として、初期避難が外傷予防に繋がると言われており、若者を含む家族単位の避難行動が家族や周囲の人々の早期避難行動を誘発すると考えられている。今後、外傷予防教室を受講した高校生が、災害発生時に家族や周囲の人々の避難行動を誘発する役割を担えるようになるプログラムの作成を検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度は、研究補助金の最終年度に当たり、高校生と両親、あるいは兄妹や祖父母を交えた外傷予防教室を開催して、災害時の家族間コミュニケーションの事前準備と災害時対策に向けた教育・学習方略の検討を進める。特に、外傷・傷害は、高校生にとって肯定的イメージにはつながりにくいものであるため、より客観的に外傷予防を理解してもらえる方略を検討する。そのためには、シミュレーション学習法と学習者主体の学習資源をどのように構築するかが重要になると考える。 大学が主催するオープンキャンパスや高校の総合的な学習の時間、学園祭を活用した外傷予防教室の開催を促進する。 さらに、障害と外傷予防、災害発生直後の被災者心理と外傷予防に向けた初動学習法の功逐について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
第2回と第3回外傷予防教室の参加者が予定よりも少なかったため、参加者にかけている傷害保険と文房具の消耗品金額が予定よりも少なくなった。 3回の外傷予防教室を開催し、データを収集するとともに、カナダユーコン州ホワイトホースで開催されるカナダ傷害予防安全促進Canadian Injury Prevention and Safety Promotion Conference (CIPSPC)で研究成果を発表する。 オーストラリアのメルボルンで外傷予防教室を開催している担当者に打診し、日本とオーストラリアの高校生を対象に、外傷予防教室を共催する。
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