2012 Fiscal Year Research-status Report
災害における喪失(死別および行方不明)に立ち向かう被災者を支える看護の検討
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24593259
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata Seiryou University |
Principal Investigator |
小林 祐子 新潟青陵大学, 看護福祉心理学部, 准教授 (20303232)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際災害 |
Research Abstract |
研究対象の論文の検索には、国内論文に関しては医学中央雑誌Webを用い、国外論文はCINAHLとMEDLINEを用いた。 検索時のキーワードは、「グリーフケア」「災害」を用いて検索した。用いた論文は原著論文を中心にし、資料等は除いた。国外論文は、bereaveのキーワードを用いて検索した。「災害看護」「悲嘆」のキーワードで検索した結果、17件しか抽出されず、「グリーフケア」「災害」のキーワードで検索した結果、164件が抽出された。次に原著論文に絞り込んだ結果、11件が抽出された。論文の表題および抄録の内容から、最終的に災害におけるグリーフケアに関する論文として10件を確認し、研究対象の論文とした。国外文献については、現在も継続して対象文献を抽出している。 論文の検討を行った結果、研究論文の内容に関しては、阪神・淡路大震災やJR福知山線脱線事故以降の災害急性期の悲嘆介入、複雑性悲嘆の治療プログラムの報告、東日本大震災では遺体安置所での遺体確認時の遺族への支援が主であり、2011年以降は東日本大震災に特化していた。 悲嘆プロセスでは、二重悲嘆モデル、デーケンの12段階モデル、意味の再構成モデルなどがあげられていた。東日本大震災に関しては、災害急性期のDMORT研究会、警察機関の検視業務などから、喪失を体験している被災者には遺体に関する正確な情報提供、遺体の尊厳ある扱い、身元確認時の支援者の付き添い、悲嘆モデルを用いた介入が示されていた。 課題として、精神科医や臨床心理士など精神保健の専門家による「心のケアチーム」の活動だけでなく、医療職など復旧復興期も含めた遺族支援に向けてのネットワーク作りがあげられた。行方不明者の家族に対しては「あいまいな喪失」として通常の悲嘆介入とは異なる必要性が指摘はされているが具体的介入の報告はなく、長期にわたる介入のあり方が課題としてあげられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度に予定していた計画のうち、国内外の文献を収集する段階で国内の災害看護に関する文献、基礎教育課程のテキスト類、国内のグリーフケアに関する文献の入手および原著論文を中心とした文献整理・検討は順調に進められたが、洋書の文献の翻訳作業に時間を要した。そのため、量的調査に向けた調査項目の検討まで至ることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は平成24年度に行った文献検討の結果をもとに、災害時に関するグリーフケアの現状と課題についてその成果を看護系の研究学会等で、公表する。平成24年度に着手できなかった援助者を対象にした量的調査の調査項目の検討を行い、心理学の専門家からの指導を受け、予備調査を実施する。 上記の実施後、得られた結果を基にして災害による死別悲嘆に関する調査を実施する。対象は県内外で活動する災害支援ナース、災害時にボランティアを派遣した医療施設に勤務し、災害支援の経験のある看護職400人、市町村で避難所運営および災害後の継続支援を行っている保健師100人とする。 予定している調査内容は、震災および水害時の遺族への対応や遺族の状況、災害後の支援状況、医療職が把握した遺族のニーズ、地域の支援体制などである。方法は、先行研究および予備調査をもとに自記式調査票を作成し、所属施設内の倫理審査委員会での承認後に対象施設に依頼する。 分析はデータ入力の補助者に依頼し、単純集計および数量的演繹的手法で統計ソフトを用いて解析する。 同時に災害死別した遺族を対象とした質的調査では、協力者の支援のもとで、インタビュー項目の設定、インタビュー調査の準備を進めていく。平成26年2月を目処に、悲嘆反応、専門職および非専門職からのサポート体制、支援者へのニーズなどを調査項目とし、国内外で発生した事故や疾病による死別悲嘆の経過と比較し、死別した被災者に必要なケアを抽出する。災害支援を担う専門職を対象にした量的調査と死別した被災者への質的調査から、災害におけるグリーフケアの現状と課題を明らかにし、看護の視点からケアの方略を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に成果の公表ができなかったため、平成25年度はまず、平成24年度に行った文献検討の結果をもとに、災害時に関するグリーフケアの現状と課題について、その成果を看護系の研究学会等で公表する。当該研究費が生じた理由は、文献検討に時間を要したため、量的調査の準備が進まなかったために、量的調査項目の内容検討における心理学の専門家によるスーパーバイズに対する謝礼の費用、予備調査の実施における費用の支出を、平成25年度のデータ入力に関する予算の他に予定している。また、平成25年度の質的研究の準備に向けた協力者との打ち合わせに関する費用を予定している。 災害に関する論文公表、グリーフケアに関する図書、東日本大震災を中心とした被災者の体験記等の出版が相次いでおり、継続して文献収集を重ねていく。
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