看護職配置に関する看護トップマネジャーの意思決定要素分析に基づく算定モデルの構築

2012 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 24593265
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Kyoto Tachibana University
• Principal Investigator: 阿部 祝子 京都橘大学, 看護学部, 准教授 (40575693)
• Project Period (FY): 2012-04-01 – 2015-03-31
• Keywords: 看護職配置

Research Abstract

研究協力施設として予定した8施設に，平成24年4～9月分の看護職配置数算定のための基礎データの提供を要請した．8施設のうち7施設からデータの提供を受け，残る1施設は別の施設に変更し，データ提供を待っている．先にデータ提供を受けた7施設について，提供されたデータをもとに患者数，患者分類II及び看護必要度と入院数に基づく看護職配置数を算定し，グラフ化して提示した．その説明とともに，トップマネジャー及びミドルマネジャーへのインタビュー調査を実施した．現在，インタビュー調査で得られた音声データの書き起こし，整理，分析を行っている．
現段階では，トップマネジャーが考慮及びミドルマネジャーが希望している要素をどの程度含めているかという実感は不明確であったため，平成25年度2か月分の新たなデータ提供を要請し，それに基づき算定する際に，それらの要素の考慮比率を示し，インタビュー調査することとした．
平成24年度6か月分のデータをもとに，看護必要度と新規入院患者数を要素として看護職配置数を病棟ごとにグラフで示したことにより，調査対象施設の現状をトップマネジャー及びミドルマネジャーが理解できた．また，看護必要度と新規入院患者数という要素を加味する割合を変えた場合の配置数を知ることで，各病棟の特徴を具体的に見出す機会となった．

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の目的は，看護職配置に関する看護部門のトップマネジャーの意思決定プロセスに焦点をあて，意思決定の要素とその関与の度合いを解明し，看護必要度と組み合わせて看護職配置の算定モデルを構築することである．本研究では，フィールドワーク技法を活用し，トップマネジャーの知恵や勘という暗黙の基準で意思決定されてきた看護職配置に関して，その要素とその関与の度合いを解明するためにフィールドワーク技法を用いる．研究の進め方は，①看護職配置の際の判断基準となる要素に関するトップマネジャーへのインタビュー調査，②現在の看護職配置の満足度と看護職配置に関する意向に関するミドルマネジャーへのインタビュー調査，③両者を関連づけ看護職配置に関する意思決定要素とその関与の度合いの重層的な分析，④看護必要度と看護職配置に関する意思決定要素を組み合わせた看護職配置の算定モデルの構築という，4つの段階で計画した．
現在，①及び②の調査をほぼ終了している．インタビュー調査の結果では，各施設で共通する要素もあるが，施設の病床規模や有している機能，例えば集中治療室を持っているかどうかなどによって，考慮する要素が異なることが明らかになってきた．また，それらの要素をどの程度考慮するかという実感は不明確なため，新たなデータ提供を受け，そのデータに基づき，それらの要素の考慮比率をさまざまに変えて提示し，インタビュー調査する予定である．

Strategy for Future Research Activity

現在データ提供を待っている1施設について，平成24年度の7施設同様の第1回目のインタビュー調査を実施する．第1回のインタビュー調査を終了した7施設については，平成25年2ヶ月分の基礎データ提供を受け，それをもとにインタビュー結果に基づき，要素の考慮比率を変えて算定した結果を提示する．
そして，再度トップマネジャーとミドルマネジャーにインタビュー調査を実施し，看護職配置数決定時の要素とその程度について確認する．また，追加・削除する要素を聞き，さらに2ヶ月分のデータ提供を受け，算定結果を示し，インタビュー調査を行うことを繰り返す．
最終的に，トップマネジャーが利用できる算定モデルを作成するステップに進む．そして，トップマネジャーに試用してもらい，評価・修正して算定モデルを完成させる．(1施設についても同様のステップで調査する．)

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

新たな算定結果に関するインタビュー調査，作成した算定モデルの使用及び試用結果の評価・修正のため8施設に訪問し，調査するための旅費，宿泊費用として使用する．
また，インタビュー調査結果の音声データの書き起こし，整理作業を進めるための人件費，及び作業の効率化のためにPC2台，研究結果を分析し視覚化するために必要なアプリケーションソフト(テキストマイニング，統計)を購入のために使用する．
さらに，研究の中間成果及び最終成果を発表するため学会参加及び投稿のために費用として使用を予定している．