2015 Fiscal Year Annual Research Report
看護業務中断後の再スケジューリングにおける看護師の臨床判断論理に関する研究
Project/Area Number |
24593266
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Research Institution | Graduate School of Health Care Science, Jikei Institute |
Principal Investigator |
笠原 聡子 滋慶医療科学大学院大学, 医療管理学研究科, 准教授 (30283782)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 業務中断 / 多重業務 / 優先順位付け / 看護師 / 構造モデル分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、看護師が中断後の多重課題に直面した際の臨床判断に用いる優先順位付けの手がかりとして、どのような基準を使用しているかを明らかにすることを目的とした。研究①では、看護職員へのインタビュー調査により手がかりの種類を網羅的に抽出し、研究②では、研究①で抽出した項目をもとに質問紙調査を実施し、各手がかり間の相対的重要度をグラフ理論を用いて整理した。 研究①:大阪府内の医療施設5箇所に勤務する主任クラスの看護師49人を対象に、半構造的面接法により、中断時の手がかり等について聞き取りを行った。テキスト分析の結果、「時間的側面」「患者側面」「職場環境側面」「予測可能性に関する側面」などの項目が抽出された。 調査②:大阪府内の医療施設4箇所に勤務するスタッフ看護師881人を対象に、業務中断時の対応やその時に用いる手がかり、チームワーク尺度、レジリエンス尺度などを含む質問紙調査を行った。分析対象は752人となった(有効回収率85.4%)。中断による多重業務時の対応については、「自分一人で対応すべき」よりも「別の人に移譲することは必要」が多く、「実際に自分一人で対応せず、別の人に移譲している」割合が多かったが、「後輩」に比べて「先輩」には移譲しにくさを感じていた。業務選択時の優先順位に関わる手がかりとしては”重要度”と”実施度”ともに「生命の危機」「時間の決まった治療・検査」「患者の苦痛・不快」が上位となり、「患者の1日の生活リズム」「時間の決まっていない治療・検査」「時間の決まっていない療養上の看護ケア」は下位となった。”重要度”と”実施度”では各手がかり間の影響経路図は異なり、”重要度”では「重症度」と「時間の決まっていない治療」の中心度および被影響度が高かったのに比べ、”実施度”では「患者家族の希望・要望」や「患者からの不安の訴え」が高くなっており違いが見られた。
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