2013 Fiscal Year Research-status Report
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24593270
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
高谷 嘉枝 福岡大学, 医学部, 教授 (60304119)
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Keywords | 変革的リーダーシップ / 看護師長 / 看護管理 / モデル開発 |
Research Abstract |
平成25年度は、平成24年度に取り組んだ変革的リーダーシップ尺度案の質問項目の抽出・作成を継続して行った。 本年度は計画していた内容妥当性の検討の前に、再度日本の臨床現場における変革的リーダーシップについて文献データベースを利用して国内外の研究を検討した。本研究のデータには、変革をもたらす行動の他に変革的リーダーシップを構成する重要な内容が示唆されていると推測され、内容妥当性の検討段階の前に看護学領域の教授、看護管理学修士を修了した看護管理者、10年近く臨床で看護実践活動を行っている看護者を含む看護の専門家計6名と意見交換を行った。 Bennis & Nanus(1985)が述べている変革的リーダーシップの特性のほかに、日本の臨床現場で培われた師長の高い学習意欲や日本の医療の変遷の中で試練を乗り越えてきた経験、本格的な基礎教育の大学化以前に育成された師長が肯定的な自己観をもち創意工夫をこらした行動をとっている内容などが再確認された。さらに師長の看護師としての一貫した自負ともいえるような自信・誇りも変革的をもたらすリーダーシップに重要である指摘もされた。これらの内容は海外の医療制度や看護の成り立ちとは異なる日本において、米国で開発された変革的リーダーシップのどの要素が日本では有効なのか、あるいは変革的リーダーシップが開発された米国の医療の場における文化的差異によるものなのかなどを検討する手掛かりとなり日本における変革的リーダーシップ開発にとり重要な示唆をもたらすと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成25年度の当初計画は、質問項目の抽出・作成、内容妥当性の検討とパイロットスタディによる表面妥当性の検討、本調査を行う予定であったが、変革的リーダーシップ開発を進める上でデータの再確認が必要であったため再度、日本の臨床現場における変革的リーダーシップについて文献データベースを利用して国内外の研究を検討した。さらに本研究のデータには、変革をもたらす行動の他に日本における変革的リーダーシップを構成する重要な内容が示唆されていると推測されたため、計画を変更し看護の専門家計6名と意見交換を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
尺度案作成1 1.内容妥当性の検討は、看護の専門家6名程度による検討と専門的立場からの助言を依頼する。2.パイロットスタディは、看護スタッフ20名程度とし表面妥当性の検討を行う。3.プレテストは、看護スタッフ200名程度に対し無記名による質問紙調査を実施し、質問項目の精錬を行う。4.本調査は、病院10ヵ所の看護スタッフ2,000名程度とし、無記名による質問紙調査を行う。 尺度案作成2 質問項目の精錬は、プレテストを看護スタッフ200名程度に対し無記名による質問紙調査を実施し、質問項目の精錬を行う。 本調査 病院10ヶ所の看護スタッフ1,000名程度に無記名による質問紙調査を行う。施設の看護部長の研究協力の承諾後、看護スタッフへの説明の場を設け調査用紙、返信用封筒を配布し郵送で回収する。質問紙の構成は、「日本における変革的リーダーシップ尺度案」①「看護師の自律性尺度」(菊池ら,1997)と、②「看護師の職務満足尺度」(Yamashita,1995)を用いる。 「日本における変革的リーダーシップモデル」の提示 1.分析:次の内容について、統計処理を加え分析する。1)項目分析、2)因子分析:探索的因子分析及び、検証的因子分析、3)信頼性の検討、4)妥当性の検討:(1)基準関連妥当性は看護師の自律性尺度、看護師の職務満足尺度との関連、(2)構成概念妥当性:本研究の因子分析の結果と最初設定した構成概念との相違の検討 2.日本における変革的リーダーシップモデルの提示 1.での分析後、「日本における変革的リーダーシップモデル」を提示する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の計画で尺度案作成1に予定されていた内容妥当性の検討、パイロットスタディ、プレテスト、本調査を実施しなかったためである。 平成26年度計画において、平成25年度に発生した繰越金は尺度案作成1に予定されていた内容妥当性の検討、パイロットスタディ、プレテスト、本調査に使用する。
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